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梅雨から夏の湿気に「勝湿顆粒(藿香正気散)」

「頭や身体が重だるい」
「胃腸の調子が悪い」
「むくみやすい」
「気分が晴れない」

梅雨以降、こうした不調を感じる方が増えます。
中医学では、この時期特有の不調を「湿邪(しつじゃ)」の影響として考えます。

湿邪を取り除く代表的な漢方薬が「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」です。
勝湿顆粒は、梅雨の胃腸不調だけでなく、夏バテや胃腸型感冒、慢性的に湿を溜め込みやすい体質にも活用される処方です。

今回は湿邪の関係を踏まえながら、勝湿顆粒について詳しく解説します。

勝湿顆粒の概要

雨が増え湿度が上がる季節、水分の取り過ぎ、胃腸の弱りによる水分代謝の低下などによって、体内に「湿」が蓄積すると考えられています。特に日本では、高温多湿な気候であるとともに胃腸が弱い方が多いため、梅雨から夏にかけて「湿」による不調が出やすい時期です。

勝湿顆粒は「芳香化湿薬」に分類され、芳香性の生薬によって体内に停滞した余分な水分や湿気を取り除き、胃腸の働きを改善する漢方薬です。

特に、外湿(梅雨や高湿度環境)と内湿(冷飲食や暴飲暴食)の両方に対応できることが他の処方にない特徴です。

そのため、

  • 梅雨の体調不良
  • 夏風邪
  • 胃腸炎
  • 食あたり
  • 乗り物酔い

など幅広く応用されています。名前の通り、湿邪が増える梅雨から夏場にかけて欠かせない漢方薬です。

勝湿顆粒の原典

勝湿顆粒は、中国宋代に編纂された『太平恵民和剤局方(たいへいけいみんわざいきょくほう)』に記載されている「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」が元になっています。

この書物は当時の国家公認の処方集であり、多くの漢方処方の出典として知られています。

原文には、『外感風寒、内傷湿滞』という記載があります。「外から風寒の邪気を受け、体内では湿が停滞している状態」を意味します。藿香正気散は、「寒気を伴う胃腸型感冒」のために用いられた処方です。

効能効果と用法用量

 効能効果

「体力中程度以下のものの次の諸症:感冒、暑さによる食欲不振、急性胃腸炎、下痢、全身倦怠感」

中医学的な効能は、「解表化湿」・「理気和中」となっていて、外気や飲食で寒湿邪が胃腸に溜まったことによって、感冒や胃腸症状が出た場合に用いることができます。

 用法用量

次の量を1日3回、食前又は食間に服用してください。

  • 成人15歳以上:1回1包
  • 7歳以上15歳未満:1回2/3包
  • 4歳以上7歳未満:1回1/2包
  • 2歳以上4歳未満:1回1/3包
  • 2歳未満:1回1/4包

処方構成とその役割

勝湿顆粒は以下の13味の生薬で構成されています。

  • 藿香(かっこう):主薬。芳香性の香りで湿を取り除き、胃液分泌を促進し、胃腸機能を整えます。
  • 紫蘇葉(しそよう)、白芷(びゃくし):発汗解熱作用で体表面の冷えを追い出し、藿香の働きを補助します。
  • 厚朴(こうぼく)、大腹皮(だいふくひ):気の巡りを良くして腹部の張りを取り除きます。
  • 半夏(はんげ)、陳皮(ちんぴ):胃腸内の停滞した痰湿を除き、吐き気や胃もたれを軽減します。
  • 白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう):体内の余分な水分を尿として排出して、胃腸の働きを改善します。
  • 桔梗(ききょう):肺気の流れを整え、諸薬を上方へ導く働きをします。
  • 生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう):胃腸を温めながら整え、他の生薬の働きをサポートします。
  • 甘草(かんぞう):各生薬の働きを調和させ、胃腸を保護します。

藿香正気散の中には「平胃散(蒼朮を白朮に変更)」と「二陳湯」という、胃腸に留まった「湿」を捌く代表的な漢方薬が含まれています。そこに藿香・紫蘇葉・白芷・大腹皮などを追加することで、「湿を除く」「気を巡らせる」「胃腸を整える」という3つの作用が絶妙なバランスで組み合わさっています。

湿邪はなぜ厄介なのか

様々な不調を招く原因となる湿邪ですが、以下のような特性があるために注意が必要です。

 重濁(じゅうだく)

湿は重く濁った性質があり、以下のような症状が現れます。

  • 頭が重い
  • 身体が重だるい
  • 関節が重だるい
  • むくみやすい

 粘滞(ねんたい)

湿はねばつく性質があり、以下のような症状が見られます。

  • 痰が切れにくい
  • 舌苔が厚い
  • 便がベタつく
  • 湿疹が長引く

 困脾性(こんぴせい)

中医学では「脾は燥を好み湿を嫌う」と考えます。湿は胃腸機能を低下させ、下記のような症状を引き起こします。

  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • 軟便、下痢

 擾神性(じょうしんせい)

湿によって胃腸機能が低下すると、気血の生成が不足し、精神活動にも影響を及ぼすことがあります。

  • 集中力低下
  • ブレインフォグ(頭に霧がかかったような状態)
  • 気分の落ち込み、イライラ

「勝湿」とは文字通り『湿に打ち勝つ』という意味です。湿は重く粘りつく性質があるため、一度溜まるとなかなか抜けにくくなります。そこで藿香正気散は、芳香性の生薬を用いて湿を散らし、体内の巡りを回復させます。

勝湿顆粒が合う人

勝湿顆粒が合うタイプの人は、以下のような特徴が見られます。

 冷たい物を取り過ぎている

冷たい飲み物を多く飲んだり、アイスを食べている方。たとえ常温の飲み物であっても体温より低い「冷たい物」と考えますが、特に夏場は冷たい物を口にする機会が多くなりがちです。
また、飲酒の場では冷たいビールと脂っこい食事のような組み合わせにより、さらに湿を溜め込みやすくなります。

 雨が降ると不調になる

気圧や湿度の変化で倦怠感や頭痛、めまい、むくみが出る方。湿による不調は「重い」という表現を用いる方が多く、重だるい、頭重感などを訴えられることが多いです。

 苔が白くて厚い

鏡を見て舌の真ん中が白くて分厚い、もしくは苔は厚くないが水分が多い舌をしている。舌の縁にギザギザの歯形がついている。これらは「湿」が多い特徴です。

勝湿顆粒が合わない人

勝湿顆粒は非常に優れた処方ですが、どんな場合でも合うわけではありません。以下のようなケースでは悪化する可能性があるので注意が必要です。

 熱中症

炎天下で汗を大量にかいて、熱がこもっている状態では、温燥の性質を持つ勝湿顆粒は向きません。

 舌の赤みが強く、黄色の苔がある

舌が真っ赤で、苔が黄色い。これらは「熱」のサインです。この場合は熱を取り除く別の処方が必要です。

改善例

 改善例① 50代女性

8月に入って食欲がなくなり、既に閉経しているのにオリモノのようなものが出るようになったと相談がありました。
庭仕事をした後に冷たい飲み物を飲むことが多く、舌の縁がギザギザになっていて、湿邪が溜まっていると判断し、勝湿顆粒を2週間服用いただきました。するとオリモノのようなものは納まり、食欲もほぼ元に戻りました。

 改善例② 40代男性

仕事で飲み会の機会が多く、軟便気味で食欲がなくなってきた。冷たいビールと脂っこい食事になりがちで、朝は軟便気味で調子が悪いそうです。飲み会がある場合には、消化を促す漢方とともに勝湿顆粒を飲んでいただくことで、翌日にお腹が緩くなることなくお過ごしいただいています。

※改善には個人差があります。

まとめ

高温多湿な日本の環境に加えて、現代人は冷房と高脂肪・冷たい飲食によって「湿」に常にさらされています。症状がハッキリしない「なんとなく不調」の正体は、実はこの「湿」であることも多いのです。

もしあなたが、

  • 胃腸が弱くて軟便がち
  • 頭や体が重だるい
  • いくら寝ても疲れが取れない
  • 汗がベタベタしてスッキリしない

このような症状に悩まされているなら、一度「勝湿顆粒」を試してみるのがいいかもしれません。

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