子宮頸がんや子宮頸部異形成は、20~30歳代の女性に増加しているといわれています。子宮頚部異形成と診断され、経過観察となっている場合は数か月から年単位で検査通院となるため、不安な気持ちで日々を過ごされていることだと思います。
しかし、子宮頸部異形成は、早い段階で漢方薬の服用と生活習慣の改善を行うことで、治療も可能な病態です。
子宮頚部異形成とは
子宮頸部異形成とは、子宮の入口である「子宮頸部」がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで、正常細胞が変化した状態です。多くの場合は、免疫力によりHPVを排除することにより改善していきますが、一部は「軽度異形成(CIN1)」、「中等度異形成(CIN2)」、「高度異形成(CIN3)」とゆっくり進行していき、やがては「上皮内がん」や「浸潤がん」になるとされています。ただし、あくまで子宮頸部異形成は「子宮頸がんになる可能性のある病変」であって、まだ「がん」ではありません。原因
子宮頸部異形成は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで起こりますが、HPVには150以上もの種類があり、その中でも子宮頸部異形成や子宮頸がんになりやすいものが数十種類程度あるとされており、それらを「高リスク型HPV」と呼びます。高リスク型HPVは特段珍しいウイルスではなく、性行為の経験がある10~20代の女性であれば、70%程度の方が一度は感染した経験があると言われています。子宮頸部異形成の段階と西洋的な治療
子宮頸部異形成には3つの段階があり、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分類されます。軽度異形成ではそれ以上の病変に進展する率は15%程度で大部分は自然消退するとされ、さらに中等度異形成となっても進展は25%弱とされています。
子宮頸部異形成に有効な薬物治療は現在はなく、軽度異形成(CIN1)中等度異形成(CNI2)と診断されると、3~6か月ごとの定期健診を受けるのみとなります。
子宮頸部高度異形成(CNI3)と診断されると、子宮頸部を円錐切除する手術が行われることが多いです。
漢方的な子宮頸部異形成対策
がんや異形成といった体にできるしこりは、主に血の滞りである「瘀血」によるものと考えるため、漢方薬では「田七人参」や「冠元顆粒」、「桂枝茯苓丸」などの活血薬で子宮内の血流を改善します。また、ウイルスに対抗する力をつけるために、免疫力を調整する作用を持つ「チャガ」、抗ウイルス作用があるとされる「板藍根」や免疫細胞を活性化させる「ヨクイニン」といった生薬が入った物を使用します。
他にも子宮頸部異形成だけでなく、がんが発生して成長していく場合にも言えることですが、組織が変化する原因に慢性炎症が起こっている場合があるため、白花蛇舌草や半枝蓮といった慢性炎症を抑える生薬が入ったものを併用する場合があります。(慢性炎症とは、本来は一過性で治まるはずの炎症反応が、低レベルではあるものの、長期間持続している状態です。数週間から数か月、ときには何年にもわたって持続することがあり、気付かぬうちに体内で進行します。)
子宮頸部異形成のまとめ
前述したように、子宮頸部異形成の原因となるHPVウイルスは珍しいものではなく、性交渉経験のある大半の女性は感染経験があるとされています。多くの方は感染してもほとんどが自然に治癒していることを考えると、HPVウイルスだけが決定的な原因ではなく、体に備わっているウイルスに負けないだけの免疫力が備わっているかどうかが大切だといえます。
よく免疫力が重要だと言われますが、そもそも免疫力というのは必要な基礎体力があってこそ働くものです。そのためには、食事や睡眠、運動などの生活習慣を整えることもまた必要です。
漢方相談では、体質を判断して漢方薬を服用いただくとともに、生活習慣の改善に向けたご提案もさせていただき、体本来の力を取り戻すお手伝いをさせていただいております。