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不快な症状が続く「前立腺炎」の中医学的な対策

2026.05.21

「トイレが近い」「下腹部に違和感がある」「排尿後もスッキリしない」

このような症状が続いていませんか?もしかするとそれは「前立腺炎」かもしれません。

前立腺炎は、男性なら誰でもかかる可能性のある身近な病気ですが、慢性化してしまうことでQOL(生活の質)を大きく低下させる恐れがあります。

今回は前立腺炎について、西洋医学的な視点だけでなく、中医学的な考え方も交えながら、原因や対処法について解説します。

前立腺炎とは

前立腺は、膀胱のすぐ下にある男性特有の臓器で、精液の一部を作る役割があります。尿道を取り囲むように存在しているため、前立腺に炎症や腫れが起こると、排尿症状が現れやすくなります。

前立腺炎は大きく分けると、以下の4つに分類されます。

 急性細菌性前立腺炎

細菌感染によって急激に炎症が起こるタイプです。突然発症し、高熱・悪寒、強い排尿痛、頻尿、会陰部の激しい痛みが特徴で、尿検査で細菌が検出されます。

 慢性細菌性前立腺炎

細菌感染が長引き、慢性的に炎症が続くタイプです。急性ほど激しい症状ではありませんが、排尿時の違和感、下腹部痛、会陰部の不快感、射精時痛などが続くことがあります。

 慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)

前立腺炎の多くを占めるとされ、以前は「慢性非細菌性前立腺炎」と呼ばれていたタイプも含まれます。細菌は検出されないものの、骨盤周辺の慢性的な痛みや不快感が3ヶ月以上続くのが特徴です。

長時間の座り仕事、ストレス、骨盤内の血流低下、自律神経の乱れなどが関係していると考えられています。特にデスクワーク中心の方や、緊張状態が続きやすい方に多くみられます。

 無症候性炎症性前立腺炎

自覚症状がなく、不妊検査の精液検査などで偶然見つかります。治療の必要はほとんどありません。

このように一口に「前立腺炎」といってもタイプが異なるため、適切な診断と治療法の選択が極めて重要です。

前立腺炎の診断方法

前立腺炎は、症状だけでは膀胱炎や前立腺肥大症などと区別が難しいことがあります。そのため、いくつかの検査を組み合わせて診断します。

 問診

症状の詳細(痛みの場所・程度、排尿回数、発熱の有無、いつから続いているか)、過去の尿路感染や前立腺炎の既往歴などを詳しく確認します。

 尿検査・血液検査

尿中に白血球や細菌が増えていないかを確認します。血液検査では白血球数やCRPといった炎症反応を確認し、必要に応じてPSA(前立腺特異抗原)を調べることがあります。

 直腸診(DRE:Digital Rectal Examination)

医師が指を肛門内に入れて前立腺の大きさ・硬さ・圧痛の有無を直接確認します。急性期に強い刺激を加えると、菌血症や敗血症のリスクがあるため、慎重に行う必要があります。

 前立腺液検査(EPS:Expressed Prostatic Secretion)

直腸診で前立腺をマッサージして採取した前立腺液中の白血球数や細菌を調べます。慢性前立腺炎の診断には欠かせません。

 画像検査

超音波検査(経直腸的または経腹部的)で前立腺の状態や膿瘍の有無を評価します。

 尿流速検査・残尿測定

排尿の勢いや膀胱に尿が残っていないかを測り、排尿障害の程度を客観的に評価します。

これらの検査結果をもとに、急性/慢性、細菌性/非細菌性を鑑別します。

前立腺炎の治療方法

治療法は、原因やタイプによって異なります。

 急性細菌性前立腺炎

主にフルオロキノロン系やセフェム系の抗菌薬を使用します。発熱があれば解熱鎮痛剤、排尿痛にはα遮断薬を使用することもあります。

 慢性細菌性前立腺炎

前立腺に移行しやすい抗菌薬(ニューキノロン系など)を選びます。尿道括約筋を緩め、排尿症状を改善するためにα遮断薬を使用したり、痛みや不快感を和らげるために抗炎症薬を使用することがあります。

 慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)

細菌が検出されない慢性骨盤痛症候群では、抗菌薬が効きにくいことも多く、筋弛緩薬・理学療法・ストレスケアなどが治療の中心となります。

全てのタイプにおいて、禁酒・禁煙・刺激物(カフェイン・辛い食べ物)の制限、規則正しい生活、座位を長時間続けないことが大切です。

前立腺炎の中医学的な原因と対処法

中医学では、前立腺炎をただの局部の炎症とは捉えず、「湿熱」「瘀血」「腎陽虚」「肝鬱気滞」によって体内のバランスが乱れたことが原因と考えます。

 湿熱下注(しつねつげちゅう)

過食、脂っこい食事、辛い物の取り過ぎ、飲酒、ストレスなどにより、体内の水分が熱を持ち、下腹部にこもった状態です。

頻尿、排尿時の熱感・痛み、尿の濁り、尿が黄色い、会陰部の不快感、舌が赤く舌苔が黄色いなどの特徴が見られます。清熱利湿の働きを持った漢方薬を用います。

 瘀血(おけつ)

ストレスや長時間座位で「気」の巡りが悪くなり、「血」の流れが滞った状態です。

会陰部や下腹部の刺すような痛み、陰茎や睾丸の痛み、舌に紫色の斑点などが見られることが特徴です。活血化瘀の働きを持った漢方薬を用います。

 腎陽虚(じんようきょ)

中医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓だけでなく、生殖機能やホルモンバランス、水分代謝、泌尿器系全体を司ると考えます。その中でも「全身を温め、活動させるエネルギー」のことを「腎陽」と呼びます。

この「腎陽」の力が落ちることで、腰や膝のだるさ・冷え(特に下半身)、夜間頻尿、尿量が多く色は透明、残尿感などの特徴が見られます。温補腎陽の漢方薬を用います。

 肝鬱気滞(かんうつきたい)

ストレスによって気の巡りが悪くなった状態です。慢性前立腺炎では、自律神経の乱れや骨盤底筋の緊張が関係していることも多く、中医学では肝鬱気滞として捉えることがあります。

イライラ、不安感、張るような痛み、ストレスによって症状に波があるなどの特徴が見られます。疏肝理気の漢方薬を用います。

改善例

40代男性。1年前から頻尿と会陰部の違和感、踵から太ももの裏の痺れが続き、泌尿器科では慢性前立腺炎と診断されました。

泌尿器科で治療を受け、他の漢方薬局でも漢方薬を服用し、鍼灸治療も受けていましたが、症状が変わらないとのことでした。

冷えを感じやすく、頻尿で尿量が多い、不安感を感じやすい、痺れの部位などから、「腎陽虚」による前立腺炎だと判断し、腎陽を補う漢方を2種類処方しました。

3週間後、前立腺炎を発症してから初めて症状が柔らいだため、漢方を1種類に減らして2か月同じ処方を継続したところ、頻尿や違和感、痺れを感じなくなりました。

※改善には個人差があります。

まとめ

前立腺炎は、細菌感染だけでなく、血流低下やストレス、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が関係する疾患です。

特に慢性前立腺炎は、検査で大きな異常が見つからなくてもつらい症状が続くことがあり、生活の質を大きく低下させることがあります。

西洋医学的な治療だけでなく、以下のような日常生活の見直しも重要です。

  • 体を冷やさない
  • 血流を改善する
  • ストレスをため込みすぎない
  • 睡眠を整える

中医学では、その方の体質や症状の背景を重視して考えていくため、慢性的な不調に対して役立つことがあります。

症状が長引く場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談しながら体質改善に取り組んでいきましょう。

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