子宮頸ガンとは
子宮頸ガンは、子宮の入り口の子宮頸部とよばれる部分から発生します。
子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいガンです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすいガンです。
子宮頸ガンは、40、50代に最も多い病気ですが、20代の人や80歳以上の人にもみられます。
ガンの名前は“ガン”ができた臓器の名前で呼ばれることが多く、“子宮頸ガン”も、子宮頸部にできるガンなので、このように呼ばれています。しかし、同じ臓器にできるガンでも、ガンになる細胞の種類が異なると、病気の進行や治療方法に影響が出ることがあります。
子宮頸ガンの場合は大きく2種類にわけることができます。
ひとつは、子宮頸部の表面を覆う“扁平上皮細胞(へんぺいじょうひさいぼう)”からできた“扁平上皮(へんぺいじょうひ)ガン”で、もうひとつは、粘液を分泌する“腺細胞(せんさいぼう)”からできた“腺(せん)ガン”です。
腺(せん)ガンは、扁平上皮(へんぺいじょうひ)ガンと比べて子宮頸ガン検診で見つけにくく、治療も難しいといわれています。近年の疫学的調査によると、扁平上皮ガン80%、腺ガン20%であり、腺ガンの比率が上昇しています。
子宮頸ガンの原因
ほとんどの子宮頸ガンで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子が検出されます。そのため、このウイルスに感染することが子宮頸ガンの発生の引き金と考えられています。
このウイルス(HPV)は性交により感染するので、初めて性交した年齢が低い人や多くの性交相手がいる人は、子宮頸ガンになる危険性が高くなります。
妊娠回数や出産回数が多い女性、不特定多数の性行為などは、子宮頸ガンのリスクを上げる危険性があります。
しかし、実際に子宮頸ガンになる人は、ウイルスに感染した人のなかの一部にすぎません。
発ガンには、ウイルスに感染した人の体質(遺伝子の不安定性や免疫など)も関係していると考えられています。HPVに感染しても多くの場合は、免疫力によってHPVが体内から排除されます。
HPV感染の大半は2年以内に自然消失しますが、免疫が誘導されにくいため、何度でも感染します。
HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸ガンの前癌病変や子宮頸ガンが発生すると考えられています。
また喫煙も、子宮頸ガンの危険因子であることがわかっています。
子宮頸ガンの検査
子宮頸部を綿棒などでこすって、細胞診用の検体を採取します。
痛みはほとんどありません。検診後、少量の出血がある方もいますが、心配はありません。
生理中(初日~4日目まで)は受診できません。生理5日目以降、出血が少なければ受診できます。
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検査結果は日母分類と呼ばれるクラス分類に従って、以下のいずれかに判定されます。
クラス1、2、3、4、5と数字で評価。 クラス1とクラス2は正常、クラス3は偽陽性、クラス4とクラス5はガンが疑われると言った感じです。
クラス3以上の場合は精密検査を実施。細胞診によるガンまたは前癌病変の発見率は約70%とされています。
個人の意思で自発的に婦人科を訪れ、自費によって子宮ガン検診を受ける場合の費用は、3500円~6000円程度と言われています。精密検査などが必要な場合は13000円~15000程度。
症状の現れ方
初期の子宮頸ガンではほとんどが無症状ですが、子宮ガン検診で行う子宮頸部細胞診により発見することができます。
自覚症状としては不正性器出血(月経以外の出血)が最も多く、とくに性交時に出血しやすくなります。おりもの(帯下たいげ)が増えることもあります。
進行した場合には、足腰の痛みや血の混じった尿が見られることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。
子宮頸ガンの治療法
子宮頸ガンの治療法には、主に手術療法、放射線治療、化学療法(抗がん剤による治療)があり、ガンの進み具合やガンの部位、年齢、合併症の有無などによって治療法を決定します。
初期のガンであれば、妊娠の希望を考慮することもできます。
一般的に、ガンになる前の状態(前癌病変(びょうへん))やごく初期のガンでは、子宮頸部の異常な組織を取り除く手術(円錐(えんすい)切除術(せつじょじゅつ))を行います。進行した子宮頸ガンに対しては、いくつかの治療法を組み合わせて行うこともあります。
子宮頸ガンになっても、速やかに治療を進めれば妊娠は可能です。子宮頸ガンを経験した後、無事に妊娠・出産を経験している女性はたくさんいます。
ごく初期に発見できれば、子宮頸部(けいぶ)の一部を切り取る手術(円錐切除術)だけで済み、妊娠も出産も可能です。