朝ドラ「虎に翼」の最終回がいよいよが近づいてきましたね。
日本初の女性弁護士を描いた本作では、主人公の寅子が生理痛に苦しむ様子が演じられて話題になりましたが、第113話では更年期に悩む様子が描かれていましたね。
寅子が友人に更年期の症状を明かすシーンでは、「あらあら~、寅ちゃん、こちら側へようこそ。うっふふふふふ」と微笑ましく笑い合うシーンが印象的でした。
今年は残暑が続いたこともあり、こうした更年期のホットフラッシュのご相談が増えています。しかし、同じ更年期でもこうした症状に悩む人とそうでない人がいます。その違いはどこからくるのでしょうか?
更年期とは
更年期というのは閉経をむかえる前後各5年の10年間のことを指します。日本人女性の平均閉経年齢は約50歳で、45~55歳くらいが更年期の対象年齢といわれていますが、閉経のタイミングには個人差があり、40代前半に閉経する人もいれば、50代後半の人もいます。
この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、ホルモンバランスが乱れ、 体調の変化や不調を感じることになります。
これまで排卵と月経を繰り返していた女性の体にとっては、大きな変化を迎える時期です。
東洋医学から見るホットフラッシュの原因
漢方的にはこうした更年期ののぼせの原因は、 ①腎陰虚、②肝鬱気滞、③瘀血などが考えられ、これらの体質を持っているかどうかで不調を感じやすくなります。
①腎陰虚
更年期は女性ホルモンの分泌が減ることから始まります。 女性ホルモンは水分を保つ働きがあるので、更年期は体の潤いが減ってくる時期になります。すると、水は入っていない鍋が空焚きされるようにすぐ火照りを感じるようになってしまいます。
このタイプは舌が赤くひび割れがあったり苔が少ないなどの特徴があり、白髪や腰痛などの症状がよく見られます。
漢方でいう腎というのは水を溜め込むダムのような存在で、老化とも関わりが深い臓器です。この腎の働きが弱くなることでホットフラッシュの症状が現れます。
②肝鬱気滞ホルモンを分泌する能力が減ると、能力が落ちた身体をカバーするために無理やりにでもホルモンを出そうと脳の視床下部は指令を出します。 すると同じく視床下部に支配される自律神経にも影響が出ることで、血管を調整する働きが狂ってしまい、体温調節が上手くいかなくなります。このタイプは、イライラや不安感、お腹や脇腹の張りを感じることがあります
③瘀血更年期には冷えのぼせを感じる方も多くいらっしゃいます。 お風呂のお湯が上の方が熱く下が冷えるように、体の中も循環がうまく行かないと陽気が上に昇ってしまいます。体の中では血液の流れによって熱が循環されるので血の流れが悪いとのぼせの原因になります。
ホットフラッシュによく用いられる漢方薬
漢方では、体質に合わせてホルモンバランスや自律神経、血流を改善することで治療します。
- 腎陰虚(加齢による潤い不足)
補腎薬という種類の漢方薬を使うことで、更年期の根本原因であるホルモンバランスの改善を図ります。
例)六味丸、瀉火補腎丸、亀板配合食品など
- 肝鬱気滞(自律神経の乱れ)
漢方でいう肝というのは、気の流れを調節する働きを持っていて、自律神経の調整を担っていると考えます。そのため、疏肝薬という種類の漢方を使うことで、自律神経を整えることで体温調節機能を改善していきます。
例)加味逍遥散、逍遥散、香蘇散など
- 瘀血(血流の乱れ)
活血薬という種類の漢方で体温の巡りを改善することで全身の体温調節機能を整え、のぼせを改善します。 例)冠元顆粒、三七人参、桂枝茯苓丸など
まとめ
代表的な原因は以上の3つですが、実際は他にも原因があります。 ピタッと漢方が合うとだいぶん体が楽になります。逆に言うと漢方を飲んで効かなかった場合は、原因と漢方が合っていない可能性があります。 更年期の症状は漢方と相性が良いので、お悩みの方はぜひご相談くださいませ。また、更年期には生活養生も大事になります。身体に熱を溜め込みやすい肥甘厚味(脂っこい物、甘い物、味が濃い物)や辛い食事は控えめにし、早く就寝して睡眠時間は長く確保するようにされてくださいね。
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