
前回は、優先度の高い不妊検査について3点ご紹介しました。
しかし、まだまだたくさんの不妊検査があります。どこまで検査を受けるかは悩ましい所ですが、ここまで受けておけば大きな問題は防げるであろう検査について、今回は5つご紹介します。
1.頸管粘液検査
排卵期に子宮頸管粘液の性状を検査することで、子宮頸管粘液の量、透明度、粘り具合、牽糸性(糸を引く性質)を観察し、精子の通過性や卵胞の成熟度を評価する検査です。
排卵期に出る透明のオリモノには、精子を子宮の奥まで連れていく役割があります。また頸管粘液が出ているということは、女性ホルモンがしっかりと出ているという良い目印でもあります。
正常・異常な頚管粘液について
- 正常な頚管粘液:量が適度で、水様透明、粘り気があり、乾燥すると羊歯(シダ)状の結晶が見られる。
- 異常な頚管粘液:粘液が少ない、粘り気が強い、濁っている、結晶が見られないなど。
中医学的には、頸管粘液に問題がある原因は、腎陰虚、腎陽虚、脾虚湿盛、湿熱などが考えられます。それぞれ体質に合った漢方を用いて整えていきます。
2.性交後検査(フーナーテスト)
性交後、膣内に元気な精子がどれくらいいるか調べる検査です。精子が頸管粘液を通過できるかどうか、精子と頸管粘液の相性を調べるために行われます。
検査の流れとしては、超音波検査や基礎体温測定で排卵を予測し、予測された排卵日に性交を行います。性交後、4~12時間以内に子宮頚管の粘液を採取し、精子の数や運動性を確認します。検査結果が悪い場合は抗精子抗体検査に進むことがあります。
3.抗精子抗体検査
血液検査で女性の体に精子を攻撃する抗体がないか調べる検査です。
精子は女性にとっては異物なので、アレルギー反応のような状態を起こしてしまうことがあります。この場合、精子が膣内で弱ってしまうため受精に繋がらないことが多いのです。
抗精子抗体陽性の場合は自然妊娠が難しいため、人工授精や体外受精が必要となります。
4.子宮鏡検査
内視鏡を子宮口から挿入し、子宮の内側を直接観察する検査です。通常は、月経終了後から排卵までの間に検査を行います。
子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮の形の異常、子宮内膜の状態を確認するために行います。
例えば、ポリープについては着床の邪魔をすることがあるので、小さなポリープを切除することで妊娠に適した環境を整えます。
中医学的にはポリープや筋腫ができる原因は、瘀血、痰湿、気滞、腎虚が考えられます。切除するだけではなく、体質を改善することで再発予防するとともに妊娠しやすい環境を整えます。
5.腹腔鏡検査
腹部からカメラを挿入し、卵管や卵巣などの状態を直接観察する検査です。腹腔鏡検査でしか分からない癒着などがあるため、クリニックによってはこの検査をよく実施します。
子宮と腸の間に内膜症による癒着があったり、卵管采の癒着(卵管の先端にあるUFOキャッチャーみたいな部分が閉じている場合がある)など、検査で問題を確認できた場合は、そのまま癒着を剥離する治療を行います。
6.まとめ
前回記事のお勧めの不妊検査3選でご紹介した3つの検査と今回ご紹介した5つの検査を併せれば、概ね多くの問題をクリアすることができます。
自然妊娠を目指す場合でも、検査で問題がないことが分かっているのは非常に大事です。例えば、卵管が塞がっていたり、抗精子抗体が陽性である場合、漢方で体質を整えタイミングを測ったとしても妊娠することはできないからです。
妊活を始める時だけでなく、妊活しているのになかなか上手くいかない時には、こうした検査を受けることはお勧めです。
妊活にとって時間はとても貴重です。その貴重な時間を大切にするためにも、受診する検査をご検討いただけたら幸いです。
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参考文献
- 日本産科婦人科学会 – 不妊症