妊活の進め方は人によって様々です。
「自然に任せてタイミングだけ合わせる」
「不妊の原因がないか検査だけ受ける」
「始めから不妊治療を受ける」
特にこれといった正解はなく、ご夫婦の考えに合うやり方で問題ないと考えています。
ただ、いつまでに赤ちゃんが欲しいとか、妊活は何歳までにしようといった意向もあるので、貴重な時間を無駄にしないために最低限いくつかの検査を受けることはお勧めです。
今回はたくさんある検査の中でも優先度の高いものをご紹介します。
これから妊活を始めようとされている方や既に妊活をされている方の参考になれば幸いです。
妊活検査の考え方
妊活における検査は、現在の体の状態を把握し、効率的に妊娠に向けた準備を進めるために重要です。
検査を受ける理由
- 現在の妊娠しやすさを把握できる
- 問題がある場合、早期に対処できる
- 治療方針を決める際の指標になる
- 漢方治療の効果を客観的に評価できる
血液を採取して各種ホルモンレベルを測定することで、子宮や卵巣、排卵の状態を把握することができます。
検査によって現在の状態がわかれば、適切な治療方針を立てることができ、結果的に妊娠への近道となります。
漢方では検査結果をもとに、その方の体質に合わせた治療を行うことで、より効果的な妊活サポートができます。
ホルモン検査
血液を採取して各種ホルモンレベルを測定することで、子宮や卵巣、排卵の状態を把握することができます。主に以下の6つのホルモン値を調べます。
①FSH:卵胞刺激ホルモン
卵巣を刺激することで卵胞の発育を促すホルモンです。卵巣機能が低下することでエストロゲンが減少すると、FSHは卵巣に無理をさせてでも働きかけるようになります。
年齢が高くなりエストロゲンの分泌が少なくなるに連れて数値が高くなる傾向があります。
生理2〜4日目に4~10mIU/mlであることが望ましいとされます。ざっくりと1桁台であれば問題ないということになります。15mIU/ml以上になると自然排卵が難しくなるのですが、そうなるとホルモン剤を使うことで数値を下げて卵胞が育つようにします。
②LH:黄体化ホルモン
排卵を促し、排卵後の卵胞を黄体化させてプロゲステロンを分泌させるためのホルモンです。
生理2~4日目に1.5~7mIU/mlであることが望ましいとされます。
また、FSHとLHについてはバランスが重要で、LHよりもFSHの方が高くないといけません。逆転している場合は、多嚢胞性卵巣症候群を疑う必要があります。
他にもFSHやLHが極端に低すぎる場合は、脳の機能低下によって無排卵を起こしている可能性があります。アスリートの方や急激なダイエットをした方で見られることがあります。
③E2:エストラジオール(卵胞ホルモン)
女性ホルモンであるエストロゲンはいくつも種類がありますが、妊活に最も関りの深いホルモンがE2(エストラジオール)です。
生理2~4日目に30~60pg/mlであることが望ましいとされます。※近年では60pg/mlは高すぎるという意見も増えてきています。
④P4:プロゲステロン(黄体ホルモン)
子宮内膜を整え、受精卵の着床を促したり、妊娠を維持したりする役割があるホルモンです。
生理2~4日目に1ng/ml以下であることが望ましいとされます。
排卵1週間後頃に10ng/ml以上であることが望ましいとされていましたが、1日の中で変動が大きく、昨今では検査しても意味がないのではないかという意見もあります。
⑤AMH:抗ミュラー管ホルモン
発育過程の一部の卵子が分泌するホルモンで、卵子の残存数を測る指標になります。卵子の質までは測ることができず、ホルモンなので時期によって数値は変動することがあり、ホルモン剤など不妊治療によっても影響することがあります。
AMH値は1.1~4ng/mLが望ましいとされます。
AMHが低くなりやすい条件は、ピル服用後(卵巣が動かないから)、卵巣手術後(手術で卵子を取ることがあるため)、喫煙(血流が悪化するため)、ダイエット、過度な運動、黄体期などがあります。
逆に高くなるのは、PCO(多嚢胞性卵巣)、卵胞期など。
生理周期によって多少の変動はありますが、基本的にはいつでも受けていい検査だとされています。
以前は、卵巣年齢の目安になると流行った検査数値ですが、卵子の質まで測ることはできないため、今では卵巣年齢という言葉は不適切だとされます。
⑥PRL:プロラクチン
プロラクチンは通常、妊娠や授乳期に増加して乳汁分泌を促すホルモンですが、妊娠していないのに過剰に分泌されると、生理不順や無排卵の原因となり、不妊の原因となることがあります。
プロラクチン値は、15ng/mL未満が望ましく、30ng/mL以上は高プロラクチン血症と診断されます。100ng/mLを超えると下垂体腫瘍が疑われるため、CTやMRI検査の対象となります。
中医学では、プロラクチンの値が高い状態を肝気鬱結という体質と捉え治療します。
子宮卵管造影検査
子宮に卵管造影剤を入れて、卵管が通っているか調べる検査です。
痛みを心配して受けたくないという方もいらっしゃいます。ただ、痛いということは卵管が狭いということなので、そういう方こそ受けた方がいい検査です。
どうしても痛みが怖くて嫌と言う方は鎮痛剤を飲むと痛みを抑えることができますし、クリニックによっては鎮痛剤を出してくれる所もあるようです。
検査のメリット
- 検査と言いつつ、卵管を広げる効果もある
- 検査後、半年間は妊娠の確率が上がるゴールデンタイム
- 卵管の問題が分かれば早期に治療方針を決められる
- 子宮の形や筋腫、卵管瘤水腫なども分かる
妊活を始めたらすぐに受けることをお勧めします。検査後、半年間は卵管が広がることにより妊娠の確率が上がるゴールデンタイムとされているので、独身のうちから受けるというよりは妊活をいざ始める時に受けるのが理想的です。
もし卵管が閉じていることが分かった場合は、タイミングを合わせても妊娠することができないため、早めに体外受精に進むという選択を取ることができます。
検査を受けることができない条件
- 生理中は経血が逆流して子宮内膜症のようになるので、受けることができません。
- クラミジアに感染していると感染を広げることになるので検査して陽性であれば受けることができません。
- 甲状腺機能に問題がある場合、基本的には検査することができません。
甲状腺機能に問題がある場合、造影剤に含まれているヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモンの原料となるため、甲状腺機能に影響を及ぼします。
甲状腺ホルモンの材料を入れることで甲状腺機能亢進症の悪化要因になるのはイメージしやすいのですが、不思議なことに甲状腺機能低下症についても影響します。大量のヨードが体内に入ることで、誰でも自己防衛的に甲状腺ホルモン合成を一時的に抑制する現象が起こりますが、甲状腺機能低下症の場合はこの状態が戻りにくいようです。
子宮卵管造影検査は、卵管だけでなく子宮の形や筋腫、卵管瘤水腫(※1)などの問題がないか検査することができます。
※1:オリモノだと思っていたものが実は瘤水腫の水である場合があり、受精卵が流れてしまうために妊娠しづらくなります。
超音波エコー検査
卵胞の発育状況や子宮の状態を確認し、排卵時期を予測する検査です。
卵胞の成長を観察することで、排卵のタイミングを把握し、タイミング法や人工授精などの治療に役立てられます。
排卵期に子宮内膜は10㎜以上、卵胞は20㎜前後になると卵子が飛び出して排卵するため、排卵時期の目安となります。
また、子宮内膜の厚さや卵胞の大きさだけでなく、子宮の形状、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどの病変の有無、排卵が左右どちらからなのか等も調べることができます。
ちなみに健康診断で受けるエコー検査は、子宮頸がん検査や子宮筋腫がないかというような点を重視しているので、妊活の検査と健康診断の検査は別物です。
まだ妊娠に至らない場合であっても、子宮内膜の厚さや卵胞の発育状況を確認することができるので、なかなかゴールが見えない不妊治療においては、漢方で体質改善できていることを実感するきっかけになります。
排卵後にも超音波エコー検査に来るように言われる病院もあり、面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、排卵後の黄体の状態などを見てくれる親切なクリニックの可能性が高いです。
まとめ
今回は最低限受けておいて損はない不妊検査についてご紹介しました。
たくさんの検査がある中で、何を受けようか迷う場合は、この3つの検査だけは優先的に受けると良いでしょう。
既にクリニックで治療を受けている方の中でも、ご自身がどういう状態なのか分からないという方もいらっしゃいます。
漢方薬店では、クリニックの不妊治療や検査結果から体がどういう状態なのかについてもご説明することができますので、分からないことがあればお尋ねくださいね。
薬草の森はくすい堂 国際中医専門員 権藤
住 所:福岡県福岡市城南区長尾1-17-7
電話番号:0120-8931-81(フリーダイヤル)
★ホームページからの相談予約
https://reserva.be/hakusuido
★オフィシャルLINEからもお問合せ・相談予約ができます。
https://page.line.me/zyw6393q
参考文献
関連記事
妊活に関する詳しい情報や漢方治療については、お気軽にご相談ください。
妊活相談について
体質改善から妊活をサポートいたします。検査結果の見方や今後の方針についてもご相談いただけます。