鏡を見て、自分の歯が透けていると思ったことはないでしょうか?
それは、歯の表面のエナメル質がすり減ってしまい、その下の象牙質が透けて見えていることを意味しています。
歯の表面がすり減り、透けて見えてしまう要因は『酸』
酸性の強い食べ物を摂取し過ぎると、「酸蝕歯(さんしょくし)」という病気になる可能性が高まります。私たちの大切な歯は、主体となる「象牙質」と、それを守るように「エナメル質」が覆っています。
エナメル質が食事中の『酸』によって溶かされてしまうと、歯が透けたような状態が起きてしまいます。この状態を「酸蝕歯(さんしょくし)」と呼んでいます。
歯が透けていることに気づいたら、酸蝕歯がすでに進行した中期の状態であるといえます。
酸蝕歯は自然治癒できるものではありません。
もし、酸蝕歯の疑いがあるならば、歯医者さんで適切な処置を施してもらう必要があります。
酸蝕歯を放置すると、以下のような事態を引き起こす可能性があるからです。
- 歯の中の神経が損傷する
- 噛み合わせが悪くなる
酸蝕歯の初期段階
- 熱い飲み物や冷たい飲み物を飲んだときにしみる。
- 歯の表面が丸みをおびて見える。
- 歯が薄くなり下の象牙質が見えはじめることで歯がわずかに黄色く見える
酸蝕歯の中期段階
- 歯がより濃い黄色に見える。
- 歯の先端が透けて見える。
- 知覚過敏がより重症になる。
- 歯の表面に小さいへこみが現れる。
- 昔の詰め物がいきなりとれてしまう。
酸蝕歯の影響は元に戻すことはできません。
ほうっておくと、歯医者さんで治療しなければならなくなります。
最悪の場合、ダメージがひどければ歯の神経を取ったり歯を抜かなければならなくなることもあります。
酸蝕歯にならないためには
お酢や、炭酸飲料、クエン酸やリンゴ酸を含むスポーツ飲料、柑橘系の果物や飲料、ワイン、フルーツティなどは特に酸性度が高く、摂取した後は歯が一時的に柔らかくなってしまいますので、下記のことに注意しましょう。
飲食後30分は歯磨きを控える
軟化した歯が削れるのを防ぐため、飲食後30分は歯磨きを控えましょう。
お口の中で長時間溜めておかない
お口の中に酸性の飲食物が長くとどまっていれば、歯は酸の影響を受けてしまいます。ダラダラと飲食物をとることは控え、飲み物はお口の中に溜めずに飲み込むようにしましょう。
酸を早く中和させる
飲食後は、お口の中に酸が長くとどまらないように、水や緑茶を飲んだりうがいをしたりするとよいでしょう。
また、糖類を含まない(成分分析表に糖類0g表示とされている)ガムを噛むことも有効です。
ガムを噛むことによって、唾液の量を増やすことができ、お口の中の酸を中和させることができます。
また、唾液に はミネラルが含まれているので、一時的に柔らかくなった歯の再石灰化を期待することができます。
スポーツの前後や就寝前は、酸性度の高い飲食を控える
スポーツ中や寝ている間は、唾液の量が少なくなるため、酸が中和されにくくなります。
スポーツの前後や就寝前は、摂取を控えた方がよいでしょう。
歯質の強化を促す製品を利用する
フッ素やリカルデント(CPP-ACP)を含む製品は、再石灰化の促進を期待することができます。
これらを含む歯磨き剤や、歯磨きの仕上げに使うジェルやペーストなどもありますので、上手に使って歯質を強化するとよいでしょう。
また、逆流性食道炎のある方、しばしば嘔吐する方などは胃酸によっても歯が溶かされる場合がありますので、注意が必要です。