「くしゃみや鼻水が止まらない」
「鼻づまりがひどく、夜もぐっすり眠れない」
「毎年、花粉の季節になると鼻炎に悩まされる」
このような鼻炎の症状でお困りではありませんか?
鼻炎は、花粉やダニなどのアレルギーが原因となるものから、寒暖差や刺激によって起こるものまで、さまざまな種類があります。
現代医学では、鼻粘膜の炎症や免疫反応に着目して治療を行います。一方、中医学では、鼻に現れている症状だけでなく、肺・脾・腎の働きを中心に考え対処します。
今回は、鼻炎が起こる仕組みから、現代医学と中医学それぞれの考え方について解説します。
鼻炎とは?現代医学から見た原因
鼻炎とは、鼻の内側を覆う粘膜に炎症が起こり、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が現れる状態です。
鼻炎にはさまざまな種類があり、原因によって対処法も異なります。代表的なものとして、アレルギー性鼻炎、感染性鼻炎、非アレルギー性鼻炎があります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ、ハウスダストなどの原因物質に対して、免疫が過剰に反応することで起こります。
原因物質が体内に入ると、免疫反応によって肥満細胞などからヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されます。これらの物質が鼻の知覚神経や血管に作用することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が現れます。
代表的なものには、スギやヒノキなどの花粉によって起こる「季節性アレルギー性鼻炎」と、ダニやハウスダストなどが原因となる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。
感染性鼻炎
風邪などのウイルス感染によって鼻の粘膜に炎症が起こる鼻炎です。
鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れ、のどの痛みや咳、発熱などを伴うこともあります。多くは感染症の経過とともに改善しますが、症状が長引く場合には、副鼻腔炎など別の病気が関係している可能性もあります。
非アレルギー性鼻炎
非アレルギー性鼻炎は、アレルギー反応以外の要因によって、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが起こる鼻炎です。
その一つが血管運動性鼻炎です。寒暖差や冷たい空気、におい、精神的なストレスなどをきっかけに症状が現れることがあり、「寒暖差アレルギー」と呼ばれることもあります。ただし、厳密にはアレルギー性鼻炎とは異なります。
血管運動性鼻炎では、鼻の知覚神経の過敏さや自律神経による調節などが関係すると考えられていますが、詳しい発症メカニズムは十分に解明されていません。
このほか、食事をきっかけに鼻水が出るタイプや、血管収縮成分を含む点鼻薬を長期間使い続けることで起こる薬剤性鼻炎などもあります。
このように、鼻炎はアレルギーだけでなく、感染症や気温の変化、外部からの刺激、薬剤など、さまざまな要因によって起こります。症状が出るタイミングやきっかけを把握することは、原因を考え、適切な対処法を選ぶうえで大切です。
現代医学ではどのように治療する?
アレルギー性鼻炎では、症状の種類や強さに応じて薬を使い分けます。
- 抗ヒスタミン薬:くしゃみ、鼻水、鼻のかゆみなどを抑えます。
- 鼻噴霧用ステロイド薬:鼻粘膜の炎症を抑え、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどを改善します。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:アレルギー反応に関わるロイコトリエンの働きを抑え、鼻粘膜の腫れを軽減することで、特に鼻づまりの改善に用いられます。
- アレルゲン免疫療法:原因となるアレルゲンに少量ずつ繰り返し曝露し、アレルギー反応を起こしにくくすることを目指します。
薬だけでなく、花粉やダニなどの原因物質を避けることも大切です。
なお、市販の血管収縮成分を含む点鼻薬は、長期間連用すると、かえって鼻づまりが悪化することがあります。使用方法や使用期間を守りましょう。
中医学から見た鼻炎の原因
中医学では、アレルギー性鼻炎は「鼻鼽(びきゅう)」や「鼽嚏(きゅうてい)」と定義されます。原因となる主なタイプは以下の通りです。
肺気虚(はいききょ)
肺は呼吸を司るだけでなく、鼻症状と最も関連の深い臓腑です。体表を守る「衛気」の働きや、水分代謝にも関係すると考えられています。
肺の気が不足すると、外からの刺激に対する防御機能が弱まり、くしゃみや鼻水などの症状が現れやすくなると考えます。このタイプは、補肺益気の働きを持った漢方を用います。
脾気虚弱(ひききょじゃく)
脾は飲食物を消化・吸収し、気や血を生み出す働きを担うと考えます。また、五行では脾と肺は「相生」の関係にあり、脾が生み出した気によって肺の働きも支えられるとされています。
そのため、脾の働きが弱まると、食欲不振、食後の膨満感、軟便、疲れやすさなどを伴うとともに肺気が弱る原因となります。さらに、脾の「運化機能」が低下すると、体内の水分をうまく処理できず、「水湿」が停滞しやすくなると考えます。
このタイプは、脾の働きを整えて気を補うことを基本とし、水湿の停滞がみられる場合には、湿を取り除く治法も検討します。
腎陽不足(じんようぶそく)
体を温める腎陽の働きが不足しているタイプです。慢性的な水様性鼻水やくしゃみに加え、強い冷え、腰や膝のだるさ、尿が薄く量が多いといった症状を伴うことがあります。このタイプは、温補腎陽の働きを持った漢方を用います。
風邪侵入(ふうじゃしんにゅう)
中医学では、風邪(ふうじゃ)が肺の働きに影響すると、くしゃみや鼻のかゆみなどが現れると考えます。また、肺の気の巡りが乱れ、水分の流れが滞ることで、鼻水や鼻づまりが生じると捉えます。症状の現れ方や寒熱などを確認して解表の働きを持った漢方薬を用います。
改善例
60代女性:長年続く鼻づまり
幼少期から慢性的な鼻づまりがあり、特に梅雨の時期に悪化して、呼吸が苦しくなることがありました。鼻水が気になることはありません。やや軟便傾向があり、外食をすると胃もたれすることも多く、舌には歯形があり、苔も厚い状態でした。
肺の気を補う漢方を基本とし、胃腸の調子が悪いときには脾の気を補う漢方を服用いただきました。
服用を始めて約2か月が経った頃、急に鼻が通るようになったことを自覚されたそうです。その後も体調を確認しながら服用を継続されています。
50代男性:イネ科アレルギーによる鼻炎・後鼻漏
イネ科のアレルギーがあり、田んぼの近くに住んでいることもあって、鼻炎と後鼻漏(鼻水が喉の奥に流れる症状)に悩まれていました。1日に約2Lの水分を飲んでおり、深く眠ることができず、睡眠時間も3時間ほどでした。舌の苔は厚く、黄色みが強い状態でした。
肺の気を補う漢方と、熱や痰を取り除くことを目的とした漢方を服用いただきました。
1か月後、鼻炎や後鼻漏はやや改善する程度でしたが、睡眠の質がよくなり、水分も前ほど飲まなくても満足できるようになったとのことです。また、以前よりも体が温まっているように感じると話されていました。
同じ処方をさらに1か月継続いただいたところ、鼻炎と後鼻漏を感じなくなり、舌の苔も薄くなってきました。
※上記は、実際にご相談いただいた方の改善例です。症状や体調の変化には個人差があり、同様の経過や効果がすべての方に得られるわけではありません。
まとめ
鼻炎は、花粉やダニなどによるアレルギー性鼻炎だけでなく、寒暖差や刺激、感染症など、さまざまな原因で起こります。
現代医学では、炎症や免疫反応に着目して治療を行います。一方、中医学では、肺・脾・腎の働きや寒熱、気虚、水湿などを考慮し、一人ひとりの状態に合わせて対処します。
「毎年、鼻炎を繰り返している」「鼻水は出るけれど、どの漢方薬が合うのか分からない」とお悩みの方は、症状だけでなく、体質や生活習慣も含めて見直してみませんか?
お一人おひとりの体質や症状を丁寧に伺いながら、中医学の視点から健康づくりをお手伝いしています。
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