漢方専門40年の実績、漢方薬のご相談なら福岡市城南区(長尾本店)・福岡市博多区(リバレイン店)の薬草の森はくすい堂

HOME>新着情報 >キイトルーダ(免疫チェックポイント阻害剤)の副作用

キイトルーダ(免疫チェックポイント阻害剤)の副作用

2026.09.09

がん治療の進歩によって、これまで治療が難しかったがんに対しても、さまざまな治療法が選択できるようになりました。その一方で、治療によって体の状態が大きく変化し、これまでにはなかった症状が現れることもあります。

特に、免疫の働きを利用してがんを治療する「免疫チェックポイント阻害剤」では、通常の抗がん剤とは異なる副作用が起こることがあります。

今回は、実際の相談例も交えながら、免疫チェックポイント阻害剤の1つである「キイトルーダ」の副作用を中医学ではどのように捉えるのか、そしてどのような体質に注意が必要なのかを考えていきます。

免疫チェックポイント阻害剤とは

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物を攻撃する「免疫」という防御システムがあります。

しかし、免疫が強く働きすぎると、自分自身の細胞まで攻撃してしまう危険があります。そこで体には、免疫の働きを適度に抑える「ブレーキ」のような仕組みが備わっています。これが「免疫チェックポイント」です。

ところが、がん細胞はこのブレーキを利用して、免疫細胞からの攻撃を逃れることがあります。

そこで登場したのが「免疫チェックポイント阻害剤」です。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞によって利用されている免疫のブレーキを解除し、免疫細胞ががん細胞を攻撃しやすくするための薬です。

一方で、免疫のブレーキを解除することで、がん細胞だけでなく正常な組織に対しても免疫が強く働いてしまうことがあります。そのため、肺や肝臓、腸、甲状腺など、さまざまな臓器に「免疫関連有害事象」と呼ばれる副作用が起こることがあります。

免疫チェックポイント阻害剤の分類

免疫チェックポイント阻害剤には、いくつかの種類があります。代表的なものが、PD-1、PD-L1、CTLA-4を標的とする薬です。それぞれ免疫のブレーキを解除する仕組みが少し異なります。

 (1)PD-1阻害剤

PD-1阻害剤は、免疫細胞であるT細胞の表面にある「PD-1」という受容体に結合する薬です。T細胞とは、がん細胞などの異常な細胞を見つけて攻撃する免疫細胞です。

PD-1はT細胞の働きを抑える「ブレーキ」の役割をしています。がん細胞は「PD-L1」という分子を使ってこのブレーキをかけ、T細胞からの攻撃を逃れようとします。そこでPD-1阻害剤がPD-1に結合し、PD-L1との結合を妨げることで、T細胞のブレーキを解除し、がん細胞を攻撃しやすくします。

代表的な薬に、オプジーボ(ニボルマブ)やキイトルーダ(ペムブロリズマブ)があります。

 (2)PD-L1阻害剤

PD-L1阻害剤は、がん細胞などの表面にある「PD-L1」という分子に結合する薬です。PD-L1は、T細胞の表面にある「PD-1」と結合することで、T細胞の働きにブレーキをかけます。がん細胞はこの仕組みを利用して、T細胞からの攻撃を逃れようとします。

そこでPD-L1阻害剤がPD-L1に結合し、PD-1との結合を妨げることで、T細胞のブレーキを解除します。その結果、T細胞ががん細胞を攻撃しやすくなります。

代表的な薬には、テセントリク(アテゾリズマブ)やイミフィンジ(デュルバルマブ)などがあります。

 (3)CTLA-4阻害剤

CTLA-4阻害剤は、T細胞に存在する「CTLA-4」という別の免疫チェックポイントを標的とします。CTLA-4は、T細胞が活性化する初期段階で免疫反応にブレーキをかける働きがあります。CTLA-4阻害剤がCTLA-4に結合することでこのブレーキを解除し、T細胞が活性化しやすくなることで、がん細胞を攻撃する免疫反応を高めます。

代表的な薬に、ヤーボイ(イピリムマブ)があります。

このように、免疫チェックポイント阻害剤には複数の種類がありますが、いずれも従来の抗がん剤のようにがん細胞を直接攻撃するのではなく、患者さん自身の免疫を利用してがんを攻撃しやすくすることが大きな特徴です。

キイトルーダとは

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)は、上述したように免疫チェックポイント阻害剤の中でもPD-1という免疫のブレーキを解除することで、T細胞ががん細胞を攻撃しやすくする薬です。

2014年、アメリカで悪性度の高い皮膚がんであるメラノーマ(悪性黒色腫)に対する治療薬として初めて承認されました。当初の対象は、切除が難しい、または転移したメラノーマで、すでに治療を受けた後に病気が進行した患者さんでした。

その後、臨床試験によって有効性が確認され、メラノーマの初回治療にも使用されるようになりました。さらに、肺がん、胃がん、食道がん、腎細胞がん、子宮頸がんなど、さまざまながんへと適応が広がっていきました。

現在では、キイトルーダはがんの種類だけでなく、がんが持つ特徴を調べたうえで使用される場合もあります。例えば、がん組織を調べてPD-L1の発現量やMSI-H・dMMRと呼ばれるDNAの修復について確認し、治療方針を決めることがあります。

このように、キイトルーダは当初、一部の進行したメラノーマに対する治療薬として登場しましたが、その後、多くのがんに使用される薬へと発展してきました。免疫チェックポイント阻害剤の中でも、さまざまながんに幅広く使用されていることが大きな特徴です。

中医学的に見る免疫チェックポイント阻害剤の副作用

免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞によってかけられていた免疫のブレーキを解除し、T細胞ががん細胞を攻撃しやすくする薬です。

一方で、免疫の働きが強くなりすぎると、がん細胞だけでなく、自分自身の正常な組織まで攻撃してしまうことがあります。これを「免疫関連有害事象(irAE)」といい、皮膚、腸、肺、肝臓、甲状腺など、さまざまな臓器に症状が現れることがあります。

中医学では、このような状態を単純に「免疫が強くなった」と考えるのではなく、「陰」と「陽」のバランスが乱れた状態として捉えることができます。

「陽」はエネルギーや活動性を、「陰」は栄養や潤い、鎮静を表します。この二つが釣り合っていることで、体は健康な状態を保っています。

免疫チェックポイント阻害剤によって免疫の働きが活発になると、相対的に「陽」の働きが強くなり、「陰」を消耗しやすくなります。その結果、「陰虚」に傾き、体内のバランスが崩れることで、自分の組織を攻撃する自己免疫反応へと繋がることがあります。

キイトルーダ副作用の改善例

70代男性。

7mmのメラノーマが見つかり、すぐに切除手術を受けました。腫瘍は真皮層までにとどまっており、転移などはありませんでしたが、その後、免疫チェックポイント阻害剤であるキイトルーダによる治療を11か月間続けることになりました。

キイトルーダの投与から4か月ほど経った頃、足が大きく腫れ上がり、強い倦怠感を感じるようになりました。炎症の程度を示すCRPは21まで上昇していました。

振り返ってみると、初めてキイトルーダを使用した頃から、足の裏にじんわりとした熱さを感じていたそうです。それがキイトルーダの投与を重ねるごとに、徐々に強くなっていったとのことでした。

当初は感染症が疑われ、抗生剤による治療を受けましたが、症状は改善しませんでした。その後、解熱鎮痛薬を使用すると体は楽になったものの、CRPはなかなか下がらず、最終的にステロイド(プレドニゾロン)による治療を受けることになりました。

この頃に漢方相談を受け、まずは炎症が強い状態であることから、清熱解毒の漢方をご提案しました。

ステロイドの効果もあり、足の腫れは徐々に引き、CRPも低下してきました。しかし、ここで気になったのが舌の状態です。

舌は赤みが強く、深い裂紋があり、舌苔もほとんどありませんでした。ご主人の舌を日頃からよく観察されていた奥様によると、キイトルーダの投与を重ねるたびに舌の赤みが強くなり、徐々に舌苔もなくなっていったとのことでした。

このような舌の状態から、単純な「炎症」だけではなく、陰が不足することで熱がこもる「陰虚内熱」の状態が背景にあるのではないかと中医学的に考えました。

そこで、体の潤いを補いながら過剰な熱を抑えることを目的に、滋陰潜陽の漢方と清熱解毒の漢方をご提案しました。また、メラノーマの切除手術を受けた頃から、免疫を高めるためにしっかりと汗をかく温活や運動を行っていたため、それらは控えていただくようにアドバイスしました。

1か月後、再び舌を見せていただくと、強かった舌の赤みは落ち着いていました。足の腫れも改善し、強かった倦怠感もすっかりなくなったとのことでした。

その後も体調を見ながら治療を続け、当初7mgだったプレドニゾロンも徐々に減量していきました。そして、体調を大きく崩すことなく、11か月にわたるキイトルーダによる治療を無事に終えられました。

この症例では、炎症や足の腫れだけを見るのではなく、キイトルーダの投与に伴って変化していった舌の状態にも注目することで、「陰虚内熱」という中医学的な体質を考えることができました。

西洋医学的な治療を受けながら、中医学の視点から体全体の状態を見ていくことも、治療中の体調管理を考えるうえで大切な視点の一つだと考えています。

※改善には個人差があります。

まとめ

免疫チェックポイント阻害剤は、これまで治療が難しかったがんに対しても、新たな治療の可能性をもたらした薬です。一方で、免疫のブレーキを解除するという特徴から、正常な組織に対して免疫反応が起こり、さまざまな副作用が現れることがあります。

中医学では、こうした状態を単に「免疫が強くなった」と捉えるのではなく、「陰」と「陽」のバランスや、体に生じている「熱」などを含めて、全身の状態から考えていきます。

今回の症例では、足の腫れや炎症だけでなく、キイトルーダの投与に伴って変化していった舌の赤みや舌苔の状態にも注目することで、「陰虚内熱」という中医学的な状態を考えることができました。

がん治療では、病気そのものを治療することはもちろん大切ですが、治療を続けながらできるだけ良い体調を保つことも重要です。西洋医学による治療を基本としながら、中医学では一人ひとりの体質や症状の変化を細かく見ていくことで、治療中の体調管理をサポートできる可能性があります。

キイトルーダをはじめとする免疫チェックポイント阻害剤による治療中に気になる症状が現れた場合には、まず主治医に相談することが大切です。そのうえで、中医学の視点からも体全体の状態を見つめ、今の自分の体に何が起こっているのかを考えていくことが、治療を支える一つの方法になると考えています。

一緒に読まれている記事


お問い合わせ・ご相談窓口

薬草の森はくすい堂 国際中医専門員 権藤
住  所:福岡県福岡市城南区長尾1-17-7
電話番号:0120-8931-81(フリーダイヤル)
営業時間:10:00~18:00(日・祝日除く)

★オフィシャルLINEからもお問合せ・相談予約ができます。「友達追加」から登録いただき、お名前、相談したい内容、相談希望日(第一希望から第三希望まで)、相談方法(店頭相談、電話・ZOOM相談)をご入力ください。
https://page.line.me/zyw6393q

★ホームページからの相談予約はこちらから。
https://reserva.be/hakusuido

はくすい堂オンラインショップ限定 1日・11日・21日はポイント最大20倍
はくすい堂オンラインショップ限定 1日・11日・21日はポイント最大20倍
HAKUSUI's select 薬膳百科シリーズ さくさくなつめ【新疆産】
HAKUSUI's select 薬膳百科シリーズ さくさくなつめ【新疆産】

全国からお電話でご相談・ご注文を承っております。

  • 長尾本店
    0120-8931-81

    営業時間:10:00~18:00(日祝除く)

  • リバレイン店
    0120-8931-15

    営業時間:10:30~18:30(日・祝除く)

Copyright (C)1976-2026 Hakusui Co., Ltd. All Rights Reserved.