「健康診断で血糖値が高いと言われた」
「HbA1cが少しずつ上がってきている」
「甘いものはそれほど食べていないのに、なぜ糖尿病になったの?」
糖尿病について、このようなお悩みを持つ方は少なくありません。
糖尿病というと、「甘いものを食べすぎたからなる病気」というイメージを持たれがちですが、実際には、遺伝的な体質、加齢、内臓脂肪、食事、運動不足、睡眠、ストレスなど、さまざまな要因が関係しています。
また、糖尿病は単に「血糖値が高い」というだけの病気ではありません。血糖値が高い状態が長く続くことで、目、腎臓、神経、血管など全身に影響し、さまざまな合併症につながる可能性があります。
だからこそ、糖尿病では血糖値だけを見るのではなく、食事、運動、睡眠、体重、血圧、脂質などを含めて、生活全体を整えていくことが大切です。
今回は、糖尿病の基本から日常生活で気をつけたいこと、さらに中医学ではどのように考えるのかについて解説します。
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。食事から摂った糖質はブドウ糖となって血液中に入り、インスリンの働きによって細胞に取り込まれます。しかし、インスリンの分泌が不足したり、効きにくくなったりすると、血糖値が高い状態が続きます。
血糖値とHbA1cは何が違う?
糖尿病の検査でよく聞くのが「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」です。
血糖値は、検査をした時点の血液中のブドウ糖の量を表します。食事の影響を受けるため、空腹時なのか食後なのかによって数値が変わります。一方、HbA1cは過去1~2か月程度の血糖の状態を反映する指標です。血液中のブドウ糖が赤血球中のヘモグロビンと結びついた割合を測定します。
つまり、血糖値は「その時の血糖の状態」、HbA1cは「ここ1~2か月ほどの血糖の状態」という違いがあります。
糖尿病の診断基準
日本糖尿病学会では、以下のいずれかが「糖尿病型」の基準となります。
- 空腹時血糖値 126mg/dL以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
- 随時血糖値 200mg/dL以上
- HbA1c 6.5%以上
血糖値が糖尿病型を示した場合でも、原則として別の日に再検査するなどして診断を確定します。ただし、明らかな高血糖症状や血糖値などの組み合わせによっては、1回の検査で診断される場合があります。
糖尿病の種類
糖尿病にはいくつかのタイプがあります。代表的なのが1型糖尿病と2型糖尿病です。
1型糖尿病は、自己免疫などによってインスリンを作る膵β細胞が破壊され、インスリンが不足するタイプです。一方、2型糖尿病は、遺伝的な体質や生活習慣によって、インスリンの働きが低下したり、分泌が不足したりすることで発症します。
このほかにも、妊娠中に発症する妊娠糖尿病や、遺伝子異常、膵臓の病気、内分泌疾患、薬剤などが原因となる糖尿病があります。
糖尿病の原因
糖尿病というと、「甘いものを食べすぎたからなる」というイメージがありますが、特に2型糖尿病は、一つの原因だけで発症するわけではありません。遺伝的な体質に加えて、以下のようなさまざまな要因が関係しています。
- 食べ過ぎや栄養バランスの乱れ
- 運動不足
- 内臓脂肪の増加
- 加齢
- 睡眠不足や生活リズムの乱れ
こうした要因が重なると、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じたり、膵臓からインスリンを分泌する力が低下したりして、血糖値が上がりやすくなります。
そのため、甘いものをあまり食べない人でも、体質や加齢、内臓脂肪、運動不足などが重なることで、2型糖尿病を発症することがあります。
糖尿病で気をつけたい合併症
糖尿病で特に注意したいのが、長期間の高血糖によって起こる合併症です。代表的なものに、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害があり、「糖尿病の三大合併症」と呼ばれます。
また、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにもつながります。そのため、血糖値だけでなく、血圧や脂質、体重なども含めて管理することが大切です。
中医学的な対処法
糖尿病について、古典では「消渇(しょうかつ)」という病証として捉えます。病因や病態に応じて、肺・胃・腎を中心に考え、代表的な病態を上消・中消・下消として捉えていきます。
ただし、古典の「消渇」と現代医学で診断される糖尿病は完全に同じものではなく、健診などで早期に発見される糖尿病では、必ずしも三消の典型的な症状がみられるわけではありません。
肺熱津傷(上消)
肺の津液が消耗されると、喉の渇きが生じます。水分摂取が多い、舌が赤い、脈が速いといった症状が見られます。こうした状態には、清熱生津の働きを持つ漢方を用います。
胃熱(中消)
胃に熱がこもることで、食欲が亢進し、食べてもすぐに空腹を感じる「消穀善飢」がみられると考えます。口の渇き、便秘、体重減少などを伴うこともあります。こうした状態には、清胃瀉火の働きを持つ漢方を用います。
腎陰虚(下消)
腎陰が不足すると、体を滋養する陰液が不足して虚熱が生じやすくなります。また、腎の固摂機能が失調すると、尿が増え、頻尿などがみられることがあります。腰や膝のだるさ、耳鳴り、めまい、舌が赤く苔が少ないなどを伴うこともあります。こうした状態には、滋陰益精の漢方を用います。
瘀血
高血糖が慢性化すると、血管や神経などに障害が生じ、循環にも影響することがあります。中医学では、このような慢性的な循環障害や血脈の失調を「瘀血」と捉えることがあります。目や腎臓、手足は合併症を引き起こしやすい箇所で注意が必要です。こうした状態には、活血化瘀の働きを持った漢方薬を用います。
改善例
63歳女性
病院で糖尿病と診断され、手や腕に痒みがあり、場所によっては虫刺されのような発疹がみられていました。HbA1cは6.5%でした。
体質や症状を伺ったうえで、化痰利湿を目的とした健康食品と、活血化瘀の漢方をご提案しました。その後、1か月ほどでHbA1cは5.9%となり、痒みも気にならなくなりました。その後は、頚椎症に対する漢方薬を継続していただいています。
69歳男性
糖尿病についての書籍を読んだことをきっかけに、「漢方を試してみたい」とご相談いただきました。初回の検査では、空腹時血糖138mg/dL、HbA1c 12.0%でした。体質や症状を伺ったうえで、2種類の漢方をご提案しました。
その後、1か月で空腹時血糖は101mg/dL、HbA1cは9.5%に。その後もHbA1cは7.1%、6.7%と推移しました。現在は漢方を変更しながら、血糖値の経過を確認していただいています。
※※これらは当店での相談例です。食事や運動などの生活習慣改善も同時に行っており、漢方薬や健康食品による効果を保証するものではありません。
糖尿病対策の養生
糖尿病対策では、一つのことを極端に頑張るのではなく、食事・運動・睡眠などを無理なく整えていくことが大切です。
食事を整える
糖質を極端に制限するのではなく、必要なエネルギー量を意識し、主食・主菜・副菜をバランスよく摂りましょう。食物繊維を含む野菜や、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を先に食べ、炭水化物を後にする「食べる順番」も、食後血糖値の上昇を抑える工夫の一つです。
食後に体を動かす
食後のウォーキングや軽い家事などは、筋肉によるブドウ糖の利用を促し、食後血糖値の上昇を抑えることにつながります。
睡眠と生活リズムを整える
睡眠不足や不規則な生活は、食欲や代謝にも影響する可能性があります。夜更かしを減らし、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
甘い飲み物を控える
ジュースや清涼飲料水などは、糖分が多く含まれ、吸収されるスピードも速いため、血糖値の上昇を招きやすく注意が必要です。
大切なのは、短期間だけ頑張ることではなく、無理なく続けられる生活習慣をつくることです。
まとめ
糖尿病は、甘いものの食べすぎだけが原因ではなく、遺伝的な体質、加齢、内臓脂肪、食事、運動不足、睡眠など、さまざまな要因が関係しています。
高血糖が長く続くと、目・腎臓・神経などの合併症や、動脈硬化による心筋梗塞・脳梗塞などにつながる可能性があるため、血糖値だけでなく、血圧や脂質、体重なども含めて管理することが大切です。
食事や運動など生活習慣を整えることに加え、体質や症状に応じた漢方薬については専門家へご相談ください。
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