漢方専門40年の実績、漢方薬のご相談なら福岡市城南区(長尾本店)・福岡市博多区(リバレイン店)の薬草の森はくすい堂

HOME>新着情報 >漢方エキスの質を高める製造方法

漢方エキスの質を高める製造方法

2025.05.16

コーヒーの味の違いのように漢方薬にも違いがあります。

先日、製薬会社の営業さんから自社製品を熱く語ってもらいました。生薬の質も大事ですが、製造方法によっても漢方の効きが大きく違ってくるそうです。

効きが良い漢方薬を扱っているというのは漢方屋としては重要な事で、同じ処方なのにメーカーを変えただけで前よりも効いたということもあります。

「インスタントコーヒー」や「スープの素」のようにお湯を注ぐだけで手軽に飲むことができる漢方エキス製剤。どのように作られ、製品によってなぜ効き方が異なるのかをまとめてみました。

1.エキス製剤の歴史

昔から漢方薬というのは主に湯液(生薬をお湯でぐつぐつ煮込んだ煎じ薬のこと)で服用されていました。それがエキス製剤といって煎じ薬を濃縮・乾燥させたインスタントコーヒーのような形となっていったのは以下のような流れになります。

  • 1944年東亜医療研究所でエキス剤の研究が始まる。
  • 1950年聖光園細野診療所がエキス製剤化に着手。
  • 1957年小太郎漢方製薬が市販を開始。

2,000年以上の歴史を持つ漢方薬ですが、今のような便利なエキス剤が登場したのはここ60年ほどになります。

2.違いを生む2つの乾燥方法

漢方エキス製剤を作る過程は、簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 生薬を熱湯で煮出します。
  2. 不純物や沈殿物を取り除く過程で、フィルターを使用したり、遠心分離機を用いることで分離します。
  3. 減圧しながら加熱して濃縮します。
  4. 熱を加えながら乾燥させます。主に2つの方法があります。
  5. 賦形剤を加え、顆粒状にして製品化します。

これらの中で大きく差が生じるのが「乾燥」の工程です。

乾燥工程は主に「スプレードライ(噴霧乾燥)」と「フリーズドライ(凍結乾燥)」の2種類があり、それぞれに特徴があります。

(1)スプレードライ

スプレードライは、煎じて抽出した漢方のエキスを高温で霧状に噴霧し、瞬時に乾燥させて粉末にする方法です。大量生産が可能でコストを抑えやすく、広く一般的な製法として使われています。

しかしながら、高温での処理のために、有効成分の一部が失われてしまうといったデメリットもあります。特に熱に弱い成分を含む処方では、薬効が若干落ちる場合があります。

この製法は身近な食品だと比較的安価なインスタントコーヒーや粉ミルク、青汁などで使われています。味が多少落ちるものの大量生産することによって安価な商品を作ることができます。

(2)フリーズドライ

フリーズドライは、漢方エキスを凍結させた後、真空状態で水分だけを昇華させて乾燥させる方法です。熱をほとんど加えないため、有効成分が壊れにくく、風味や香り、色合いも自然のまま保たれます。

この製法は、手間も時間もかかり、コストは高くなりますが、「品質を最優先する」意味では理想的な製法です。

この製法は身近な食品だと、比較的高価なインスタントコーヒーやカップラーメンの具材、ドライフルーツなどで使われています。最近ではとんかつのような揚げ物もフリーズドライの商品が出ていますね。

3.まとめ

スプレードライとフリーズドライは、それぞれの特徴があって一長一短ありますが、有効成分が良く抽出されているのはフリーズドライ製法です。

特に揮発成分が多い薄荷や桂皮、陳皮など、熱に弱い成分を含む生薬はフリーズドライ製法であった方が成分保持率が高く好ましいと言えます。

今回の記事を書くにあたって2つの製法によりどのくらい成分保持率が違うのか調べるきっかけになりました。

気の巡りを良くするものや胃腸の働きを上げる漢方などはフリーズドライにこだわったメーカーがよく効く印象を持っていましたが、その感覚は間違っていなかったようです。

他にも濃縮する過程や添加物によっても漢方の効きは変わってきます。

同じ処方であってもいろんなメーカーのものを試してみるとお気に入りが見つかるかもしれませんね。

はくすい堂オンラインショップ限定 1日・11日・21日はポイント最大20倍
はくすい堂オンラインショップ限定 1日・11日・21日はポイント最大20倍
HAKUSUI's select 薬膳百科シリーズ さくさくなつめ【新疆産】
HAKUSUI's select 薬膳百科シリーズ さくさくなつめ【新疆産】

全国からお電話でご相談・ご注文を承っております。

記事一覧へ戻る
Contents
関連カテゴリー
お悩み別漢方
Copyright (C)1976-2025 Hakusui Co., Ltd. All Rights Reserved.