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バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の漢方的な対処法

2025.01.25


最近、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)でご相談にいらっしゃったお客様が「もっと早めにバセドウ病であることに気づけたら良かった。そして、早く漢方を始めたかった」と仰られていました。

どの病気であれ、できるだけ早く対処することは重要です。

バセドウ病でお悩みの方の参考になるよう西洋医学と東洋医学の両面から解説していきます。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、新陳代謝を活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンが異常に多く分泌され、新陳代謝が過剰になる病気です。

女性の方が男性より3~5倍発症しやすいとされ、特に20~40歳代に多く見られます。 代表的な症状は、甲状腺の腫大、頻脈、そして眼球突出の3つですが、全体的な症状をまとめると以下のようになります。

①全身症状

暑がり、疲れやすい、だるい、微熱、体重減少

②表情、頸(首)

目つきがきつい、眼球突出、甲状腺腫大

③神経・精神症状

イライラ感、落ち着かない、集中力低下、不眠

④循環器症状

動悸、頻脈、心房細胞、心不全、むくみ、息切れ

⑤消化器症状

食欲亢進、口渇、軟便、排便回数増加

⑥皮膚

発汗、脱毛、かゆみ、皮膚が黒くなる

⑦筋・骨症状

脱力感、筋力低下、骨粗鬆症、手足のふるえ、周期性四肢麻痺

⑧月経

月経不順、無月経、不妊

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の原因

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつで、本来は自分の体を細菌やウイルスから守る役目である免疫が、甲状腺を異物と捉えることで起こる病気です。
本来は、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)がTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンが分泌されています。
バセドウ病は、このTSH受容体に対する自己抗体が体内でリンパ球から作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることによって起こる病気です。
この自己抗体が作られる原因は正確に分かっていませんが、バセドウ病になりやすい体質を持っている人が、強いストレスやウイルス感染、妊娠・出産などを引き金に起こるのではないかと考えられています。

バセドウ病の検査方法

①血液検査

採取した血液から、 甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン、TSH受容体抗体を測定測定します。

②超音波検査

甲状腺の大きさや甲状腺内の血流等で判断します。また、甲状腺の内部にしこりがないかどうかについても検査します。

③摂取率検査

微量の放射性ヨウ素を内服することで、甲状腺に投与した放射性ヨウ素がどのくらい集まるかを測ります。

西洋医学的な治療方法

バセドウ病の治療は、まず薬を使って甲状腺ホルモンの産生を低下させ、甲状腺ホルモン値を下げることで甲状腺機能亢進症状を軽減させます。

甲状腺ホルモンの産生を抑える抗甲状腺薬を内服していれば、徐々に血中の甲状腺ホルモン値も下がることが多いようです。
薬が効かない場合や甲状腺が大きい場合、腫瘍が合併している場合などには甲状腺の一部または全部を切除する手術が行われることもあります。

また、ストレスを避け、適度な運動を行う、リフレッシュを心掛けるなど甲状腺に負担をかけない生活習慣を心掛けるような生活指導を行います。

中医学的な原因と対処法

中医学では、バセドウ病は「癭瘤(えいりゅう)」と呼ばれ、以下のようにタイプを分類して対処します。

①肝火上炎(かんかじょうえん)

このタイプは、ストレスや怒りにより肝が熱を持つことで、甲状腺の機能が過剰になります。
症状としては、イライラ: のぼせ、目の充血などを伴います。
肝の働きを良くすることで気の流れを正常化し、余分な熱を冷ます漢方を用います。

②陰虚火旺(いんきょかおう)

体の潤いである「陰」が不足すると相対的に「火」が旺盛になることで代謝が過剰に亢進します。
症状としては、寝汗、火照り、不眠、動悸、舌の苔がなく赤いなどの症状が見られます。
体の潤いの元である腎陰を補うことで熱を冷まします。

③気滞血瘀(きたいけつお)

ストレスにより気が滞ると血液循環を悪化させ、甲状腺に血流障害(瘀血)が生じ、機能失調に繋がります。
症状としては甲状腺の腫れが硬い、手足が冷える、肩こりや頭痛、顔色や舌が暗いなどの症状が見られます。
気の流れを改善するとともに血流を改善する漢方を用います。

④痰湿(たんしつ)
体内に溜まった過剰な水分のことを中医学では痰湿と呼びます。痰湿があると腫れ物ができやすい体質になり、甲状腺腫を形成する原因になると考えられます。
症状としては、食欲不振、胸苦しい、舌の苔が厚いなどの症状が見られ、原因としては食べ過ぎや胃腸の弱さが原因になることが多いです。
体内の余分な水分を取る「化痰」という働きを持った漢方を用います。

まとめ

店頭で甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の相談を受けていると、ストレスを感じる環境にいる方がとても多いと感じています。

頑張り過ぎずに意識的にリラックスすることはとても重要です。

また、西洋薬と一緒に漢方治療をしていただくことが多いですが、やはり漢方を併用した方が目の症状や気分が楽だという声をいただきます。

症状は軽い時に対処した方が漢方も効きやすいので、気になる方は気軽にご相談くださいませ。

オンラインや電話によるご相談も承っております。

 

薬草の森はくすい堂 権藤

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