日差しも気温も厳しくなってくる今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は生薬に造詣の深い天才軍師諸葛亮孔明を題材にしたアニメに出てくる煎じ薬をご紹介したいと思います。
四月から放送されていたアニメ「パリピ孔明」をご存じでしょうか。
あらすじ
【時は西暦234年、中国で魏・呉・蜀の3つの国が覇を競っていた三国時代。稀代の天才と謳われた蜀の軍師・諸葛亮孔明は、魏と蜀が争う五丈原の戦いの最中に病に倒れ、今際の際に「次の生があるならば、戦のない平和な時代に生まれたい」と願いながら病没した。
そして時は流れ、現代の日本。死んだはずの諸葛亮は若返った状態で再び生を受け、何故か中国ではなく東京・渋谷で目を覚ました。その直後、酔っ払った若者に連れられて入った一件のクラブで、諸葛亮は月見英子という駆け出しのシンガーソングライターの歌声に魅了される。
あくる朝、渋谷の道端で泥酔して眠っていた諸葛亮は英子に発見されて保護され、自分が約1800年後の日本に転生したことを知る。諸葛亮は自分を保護し、心を満たしてくれた英子の恩義に報いるべく、軍師(マネージャー)になることを申し出て、彼女をスーパースターにするためにその知略で数々の奇跡を起こしていく。】(ウィキペディア参照)
三国志好きにもたまらない戦略や骨太のストーリーが盛り込まれており三国志の本家、中国でも人気を集めている作品です。
今回はアニメ「パリピ孔明」の本編を振り返り孔明の用いる煎じ薬について考えてみました。
パリピ孔明第三話「孔明、進むべき道を知る」では孔明達の前に立ちはだかるJET JACKET。
ボーカルRYOとそのメンバー達は英子の歌と孔明の策略の前に敗したがそのやり口に納得できず抗議しに来たところ、孔明の差出すクマちゃんボトルのファンシーな煎じ薬により喉の調子を取り戻し最後にはお礼とリベンジ宣言をし立ち去るという熱い展開でした。
ここで出てくるファンシーな煎じ薬の中身を推測してみました。
RYOは喉に問題を抱えており、温まって喉が開くまで無理はできず使いすぎると擦れた様になってしまう。このような症状の人に対して用いる漢方といえば「 響声破笛丸」です。
飲んだメンバーたちはみな「まずい」「すぐにスッキリする」と言っていますが響声破笛丸の配合生薬には不味い生薬代表の大黄やスッキリする薄荷、煎じると黄色っぽい色の大黄や縮砂、連翹等も配合されているため、くまさんのファンシーボトルの黄色もこの色から来ているのではないでしょうか。
響声破笛丸は漢方の古典「万病回春」(まんびょうかいしゅん)の「連翹,桔梗,川芎,砂仁(縮砂),訶子,百薬(五倍子),薄荷,大黄,甘草を細末にし,鶏子清(卵白)と共に丸薬を作り,一回一丸を寝る前に口に含んで溶かし徐々に嚥下する」と記載されている処方を基に.現代日本では,百薬の代わりに阿仙薬(孩兒茶)を用い,大黄を去った処方が一般的に用いられています。
響声破笛丸は孔明の時代から1300年以上後にまとめられた「万病回春」(明代・西暦1587年)の処方に基づいて作られたものですが、配合生薬は三国時代に纏められた「神農本草経」に記載されており薄荷等も自生したものを用いることで響声破笛丸に近い煎じ薬を孔明は考案していたのではないでしょうか。
現在では響声破笛丸料等のエキス顆粒やササクールA等の錠剤型で販売しているものもあり、このように現在でも手に入れる事の出来る薬かもしれないと思うとワクワクしますね。
また、RYOと同じような症状にお困りの方も響声破笛丸をためしてみてはいかがでしょうか。
皆様アニメパリピ孔明の続編を楽しみに待ちつつ身体に気を付けていきたいものですね。