西洋医学での診断
理由もなく、突然激しい不安に襲われることをいいます。
不安に襲われるものの対象となっているものが無いため、不安感は身に迫る恐怖感というようなものになりやすいです。不安に襲われることで、様々な身体症状が起こりますが、体のどこかに異常があるわけではありません。
この不安発作を繰り返すことを不安神経症といいます。そして、不安発作を起こすことによって、不安発作を起こすのではないかと不安になることを予期不安といいます。
パニック障害の原因
仕事での疲労や精神的ストレスなどが引き金となっていることがあります。
パニック障害の症状
- 動悸
- 胸の詰まったような感じの苦しさ
- 息苦しさ
- 眩暈
- 冷感
- 震え
- 手足のしびれ感
- 頻尿
- 腹痛、下痢
- 吐き気
- 耳鳴り
上記のような症状があります。これらの症状は個人によって差があります。
パニック障害の治療
薬物療法、安定剤、抗うつ薬や心理療法、カウンセリングを行います。
患者さんの環境や精神状態を調べ、何が原因となっているのかを突きとめ、患者さん本人が不安を解消できるように導きます。
漢方での診断
不安感というのは、中医学的に言うと色々な不足からおこる感情です。
やはり、「気」「血」「水」のバランスの乱れや五臓六腑の乱れが原因です。
血が足りない事による精神不安定
日頃きちんと食事を摂っていないなどの養生不足や、頭や目を酷使することが長時間続くと、血虚(けっきょ)という症状になります。中医学では、精神安定には血がとても重要な役割を補っているといいます。貧血の診断はもちろんのこと、肌が青白い、肌がガサガサしている、生理が遅れ気味だ、経血が少なくなってきた、ふらつきやめまいがする、髪の毛がパサパサになっているなど、血が足りないと思われる症状の方が多く見受けられます。
津液不足(水)が足りない
津液とは、体の大事な潤いの成分のことです。
津液は「脳を滋養する」という漢方の教えがあります。体質やいつも12時過ぎに寝る、夜更かしが多いなど、津液を消耗する行為を長く続けていると、体に「ほてり」感が出てきます。微熱が夜出るのもそうです。
手足が火照る、体が火照る、ほてり感が出ている人で不安神経症(パニック障害)の方は、この水が足りないことによって起こると思われます。
体に悪い湿気が溜まっている
湿気が溜まっている事に原因で、不安が出る人がいます。舌を鏡に映して、舌苔をチェックしてみましょう。
舌苔が沢山生えている人は、この「湿」が体に溜まっている状態。湿が溜まっていると、常に体に重石が乗っているような気分になり、落ち込みやすくなります。
精神的に暗くなる、体が重くだるい、吐気、めまいなどがある人は、このような傾向があります。
五臓六腑の乱れ
■「腎」(西洋の「腎臓」とは意味が違うところがあります)
腎は『恐れ』という感情を司ります。
腎は「夜の臓器」と言われています。親からの遺伝で弱い方もいらっしゃいますが、寝不足や徹夜などの養生不足から、簡単に弱ってバランスを乱す方もいらっしゃいます。徹夜をする業種の方のお話を伺うことがありますが、必ず職場で何人か精神疾患や不安神経症の方がいて、仕事を辞めたり、突然出社して来なくなったりするそうです。
この事からも、徹夜作業や不摂生によって、腎がバランスを壊しやすいといえます。不安神経症(パニック障害)の症状や耳鳴り、頻尿も、腎が弱っている証拠といえます。
■「心」(西洋の「心臓」とは意味が違うところがあります)
心は「神志を司る」と言われており、人間の大切な志、つまり、精神状態のバランスをとっているのが「心」だという教えがあります。
中医学では心が弱ってくると、まず不眠が出てきます。寝つきが悪い、よく夢を見る、悪い夢をみてうなされる、床に入っても中々眠れない人は「心」が弱っていると診て、無理せず早めに睡眠をとることをお願いしています。
心臓がドキドキする、息苦しいなどの動悸の症状も、心に関係しています。
また、夜中でも仕事をしたり、寝ないで遊んでいたり、夜中まで起きていたり、現代人は睡眠をとる事の重要さを軽視しています。ストレスを溜める、過労、寝ないということは、下記のような状態を引き起こします。
- 血を消耗する
- 津液を消耗する
- 腎を弱らせ、精神維持のための大事な物質「精」を消耗する
- 心に負担をかけ弱らせる
真剣に夜寝る必要性を受け止め、養生してください。