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手足の冷え・しもやけ・腹痛に『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』

「手足が氷のように冷える」

「毎年、冬になるとしもやけができる」

「冷えると腹痛や下痢を繰り返す」

このような強い冷えに悩む方に用いられる代表的な漢方が『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)』です。

単なる冷え症ではなく、血行不良と深部の冷えが関与する症状に用いられる処方で、特に冷えによる痛みやしもやけ、下腹部症状などに応用されてきました。

今回は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯について、中医学的背景も踏まえながら詳しく解説していきます。

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の概要

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、強い末梢の冷えと血行不良を改善することを目的とした漢方薬です。

「四逆」とは、手足の冷えが著しい状態を指し、本方は特に血虚(血の不足)と寒邪(冷え)が組み合わさったタイプに適しています。

しもやけに対してよく用いられる漢方薬です。

冷えによって血流が滞ると、痛み・しびれ・皮膚トラブル・消化器症状など、さまざまな不調が現れます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、

  • 血を補い
  • 体を温め
  • 血行を促進する

という三方向から、冷えによる不調にアプローチする処方です。

 

原典と作られた経緯

本方の原典は、『傷寒論』です。

もともとは「当帰四逆湯」として記載されており、血虚による四肢の冷えを治療する処方でした。

そこに、

  • 呉茱萸(ごしゅゆ)
  • 生姜(しょうきょう)

を加えることで、より内臓深部の冷え(裏寒)に対応できるよう改良されたのが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯です。

特に、冷えが強く、腹痛や下痢、月経痛などを伴うケースを想定して作られた処方となります。

 

効能・効果

効能・効果としては、次のようなものがあります。

体力中等度以下で、手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢又は下腹部が痛くなりやすいものの次の諸症:冷え性、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛、下痢、月経痛。

頭痛や下腹部痛、下痢、月経痛には様々な原因が考えられますが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯が有効なのは、あくまで「冷え」が症状の引き金になっている症状です。

 

処方構成

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、以下の生薬で構成されています。

  • 当帰
  • 芍薬
  • 桂皮
  • 細辛
  • 木通
  • 大棗
  • 甘草
  • 呉茱萸
  • 生姜

当帰・芍薬で血を補い、桂皮・細辛・呉茱萸・生姜で体を温めながら血液循環を改善します。

全体として、「補血+散寒+温裏」を同時に行う設計です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の処方構成には、鎮痛・鎮痙作用のある芍薬甘草湯が含まれるため、冷えによる様々な痛みに応用することができます。

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が合う人

以下の項目に多くチェックが入る方は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯が合う可能性が高い体質です。

□ 手足の先が特に冷えやすい

□ 冬になるとしもやけができやすい、または繰り返す

□ 指先や足先の色が白っぽい、紫っぽくなることがある

□ 冷えると痛みやしびれが出やすい

□顔色が青白い、または血色が悪いと言われる

□ 疲れやすく、回復に時間がかかる

□ 立ちくらみやめまいを感じることがある

□ 髪や肌が乾燥しやすい

□ 爪が割れやすい、縦筋が目立つ

□ 冷房が苦手で体調を崩しやすい

□ 冷えると腹痛や下痢が起こりやすい

□ 冷えると月経痛や腰痛が強くなる

□ 温めると症状が楽になる(入浴後、カイロなど)

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が合わない人

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、血虚と強い冷えを伴う体質に用いられる処方です。

そのため、次のようなタイプの方には合わない、または注意が必要な場合があります。

 

①体に熱がこもりやすい人

□ 顔が赤くなりやすい、のぼせやすい

□ 暑がりで、冬でも薄着を好む

□ 口渇が強く、冷たい飲み物をよく欲する

□ ほてりや発汗が多い

□ 尿の色が濃く、熱っぽい感じがある

このような方は、体を温める生薬が多い本方を使うことで、

のぼせ・動悸・不快感などが出ることがあります。

 

②炎症が目立つ人

□ のどの痛みや腫れが出やすい

□ ニキビやアトピーなどの湿疹が赤く、熱感を伴う

体が冷えていても部分的に炎症がある場合は、別の処方を検討する必要があります。

 

③冷えより「気の滞り」が主な原因の人

□ ストレスで症状が悪化しやすい

□ 胸やお腹が張りやすい

□ イライラや気分の波が大きい

このタイプでは、手足が冷えていた場合でも、単に温めるのではなく、気の巡りを整える処方が有効です。

 

④体力があり、がっしりした体格の人

□ 比較的体力があり、疲れにくい

□ 冷えよりも熱感やほてりを感じやすい

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は虚弱傾向の方向けの処方のため、体力がある方には合わない場合があります。

 

改善例

40代女性。子どもの頃から手足の冷えが強く、冬になると必ず指先や足先にしもやけができる体質でした。特にここ数年は、赤く腫れて痛みやかゆみを伴い、保湿や外用薬を使ってもなかなか改善しない状態が続いていたそうです。

冷えの状態を詳しく伺うと、

  • 手足が一年中冷たい
  • 冷房が苦手
  • 冷えると下腹部が痛みやすい
  • 顔色が青白く、疲れやすい

といった特徴がみられました。

中医学的には、血虚に寒が加わり、末端まで血が巡りにくいタイプと考えられる状態でした。

そこで、体を温めながら血流を促す目的で、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を中心に体調を整えていくことになりました。

服用を続けるうちに、

  • 手足の冷えが以前より和らいできた
  • 冬でも指先の色が紫になりにくくなった
  • しもやけができても悪化しにくく、治りが早くなった

といった変化がみられるようになりました。

「毎年当たり前のようにできていたしもやけが、今年はかなり楽だった」という実感を持たれたそうです。

このケースからも分かるように、しもやけは皮膚だけの問題ではなく、体質や血行状態が深く関係していることがあります。

外からのケアだけで改善しにくい場合は、体の内側から整える視点が大切です。

 

まとめ

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、血虚と強い冷えが組み合わさったタイプに用いられる、非常に理にかなった処方です。

「冷えは体質だから仕方ない」と諦めている方でも、

体の内側から整えることで、症状が改善するケースは少なくありません。

冷えによる不調が長く続いている場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。

 

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