急に涼しくなり、冷え性の相談が増えてきました。
病院では「冷え性」は明確な疾患とはみなされておらず、悩んでいる方は多いものの、有効な治療法がないのが現状です。
しかし、「冷え性」のような病気になる前の「未病」に対しても漢方であれば改善することができます。
冷え性の改善例もご紹介しますので、もし似たような症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、参考になさってください。
冷え性とは?
冷え性とは、検査で特に異常が見つからないにも関わらず、体が冷えやすく、寒さを強く感じる状態を指します。
医学的には病名ではありませんが、冷えが続くと血流や代謝、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、肩こり・頭痛・生理痛・月経不順・不眠・むくみ・便秘など、さまざまな不調に繋がります。
さらに、冷えによって血流が悪化すると、免疫細胞を運ぶ白血球の働きも低下します。
体温が1℃下がるだけで免疫力は30%以上落ちるといわれ、風邪やウイルス感染にかかりやすくなるほか、がんの発生や進行にも影響するとされています。
また、免疫バランスが崩れることで、アレルギーや炎症反応を悪化させることもあります。
西洋医学から見た冷えの原因
現代医学では、冷えの原因として次のような要素が考えられます。
1.血流の悪化
血液は体内で熱を運ぶ役割を担っています。
筋肉量が少ない人や、長時間同じ姿勢で過ごす人は血流が滞りやすく、手足の末端まで十分な熱が届かなくなります。
2.自律神経の乱れ
体温調節を司る自律神経は、ストレスや睡眠不足、ホルモン変動によってバランスを崩します。
交感神経が優位になると血管が収縮し、体が冷えやすくなります。
3.ホルモンバランスの変化
特に女性は、エストロゲン(女性ホルモン)の変動によって血管の拡張・収縮が影響を受けます。
更年期や生理周期に伴って冷えを感じやすくなるのはそのためです。
4.栄養不足・代謝低下
食事制限や不規則な生活によりエネルギー代謝が低下すると、体内で十分な熱を作り出せません。
貧血や低血圧も冷えを悪化させる要因となります。
中医学から見た冷えの原因
中医学では、「冷え」は気・血・津液(水)および五臓六腑の機能失調と深く関係していると考えます。
体のバランスが崩れることで、冷えという形で不調が現れます。
1.「気虚(ききょ)」タイプ
体を動かすエネルギー(気)が不足している状態。
全身がだるく、食後に眠くなる、風邪をひきやすいなどの特徴があります。
気の不足で血流も弱くなり、体が冷えます。
方剤:補中益気湯など
2. 「陽虚(ようきょ)」タイプ
体を温める力(陽気)が不足した状態。
顔色が白く、手足が冷え、温かいものを好むタイプです。
下半身がだるく、全身の倦怠感、排尿に関するトラブルなどを伴いやすいのも特徴です。
方剤:八味地黄丸、人参湯、参茸補血丸、霊鹿参など
3. 「血虚(けっきょ)」タイプ
血が不足して体の隅々まで栄養が行き届かない状態。
肌が乾燥し、髪が抜けやすく、顔色がくすみやすい。月経量が少ない女性にも多く見られます。
方剤:当帰四逆加呉茱萸生姜湯、婦宝当帰膠など
4. 「瘀血(おけつ)」タイプ
血の流れが滞り、部分的に冷えるタイプ。
手足の一部だけ冷たい、刺すような痛みがある、肌の色が暗い・舌や唇が紫がかるなどの特徴があります。
方剤:冠元顆粒、桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減など
5.「気滞(きたい)」タイプ
ストレスで気の流れが停滞することで、局部に気血が届かない状態。
手足の冷え、腹部や脇に張り、便秘や下痢を繰り返す、ため息が多い、生理周期の乱れなどが見られます。
方剤:逍遥散、開気丸、柴胡疎肝湯など
冷え性の改善の養生
1. 筋肉を動かす
筋肉は「体の暖房器」です。ウォーキングやストレッチ、スクワットなど、下半身を中心に筋肉を動かすと、血流が改善されます。
2. 食事の見直し
体を温める食材(ショウガ、ネギ、にんにく、かぼちゃ、黒ごま、シナモン)を意識して摂りましょう。
反対に、冷たい飲食物や生野菜・果物の摂りすぎには注意が必要です。常温の水でも体を冷やすため、少し温かい物を心掛けてください。
3. 入浴習慣をつける
38〜40℃のぬるめのお湯に15〜20分浸かると末梢血管が広がり、全身の血流が良くなります。
体を温めるだけでなく、リラックス作用や睡眠の質の向上にもつながります。
4. 睡眠・ストレスケア
自律神経を整えるには規則正しい睡眠が大切です。
寝る前のスマホやPC使用は控え、ぬるめの白湯を少し飲んで心を落ち着けるのもおすすめです。
5. 「三首」を冷やさない
三首とは「首・手首・足首」のこと。これらは太い血管が皮膚の近くを通っており、冷えの影響を受けやすい部分です。
ここを温めることで全身の血行が促進され、冷えの予防や改善につながります。
冷え性の改善例
ここからは、当薬店で実際にご相談いただいたお客様の改善例をご紹介します。
70代男性、身長162cm、体重60kg。初診日9月9日。
4月ごろから急に冷えを感じるようになり、手足の先・膝上・腕の内側が冷えるとのこと。特に夕方以降に強く冷えを感じ、気分が悪くなる。
体が冷えているのに、しっとりと汗をかき、風にあたるのを嫌がる(エアコンより扇風機の風を不快に感じる)。体温は35.2℃。
食欲はあるが空腹感が乏しく、睡眠薬を服用。60歳頃から就寝時に不安感を感じていたとのこと。
初診: 加齢による陽気の衰え(腎陽虚)と捉え、腎陽を補う漢方薬を処方。
二診: 「いろいろな物を試してきたが、初めて冷えが改善しているように感じる」との報告。
ただし腕に触れるとまだしっとりとした汗が残っており、体表と体内のバランスが崩れた「衛営不和」と判断。腎陽を補う漢方とともに衛営を調和する漢方を3週間分処方。
三診: 冷えはさらに改善し、発汗も止まり、夕方以降の不安感も軽減。睡眠薬を使わなくても眠れる日が増えた。
まとめ
冷え性は病気そのものではありませんが、体のバランスが崩れ始めたサインです。
放っておくと、月経トラブル、免疫低下、睡眠障害などにつながることがあります。
自分の冷えのタイプを知り、生活習慣や体質に合わせた対策をとることが大切です。
「冷え」は体からのメッセージ。
体を温めるという行為は、単なる保温ではなく“自分をいたわる時間”でもあります。
冷えは万病のもと。日々の生活改善と、体質に合った漢方の力で根本から整えていきましょう。
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