西洋医学での診断
耳鳴りとは、外界に音が無いのに、ある種の音がしているように耳で感じ取るもので、紀元前1600年のエジプトでは、耳鳴り治療に薬液を耳に流し込んでいる絵がパピルスに描かれているほど昔からあります。現代でも、人口の10~20%が耳鳴りを感じており、特に65歳以上では30%近くが耳鳴りの経験があると報告しています。
アメリカでも、55%が両耳の耳鳴りがあり、24%は頭の中で耳鳴りがしていると答えています。
耳が音を感ずるメカニズムでは、内耳の中の蝸牛器官が内耳に到達した音の振動を、電気信号に転換する働きを行っています。蝸牛の中には、低音から高温まで個々の音に反応する感覚細胞が、ピアノの鍵盤のように順序良く配列しています。例えば、ピアノの鍵盤が押して元に戻らなくなったら、一定の音がずっと鳴り続きますが、耳鳴りもそのような状態になるのです。高音を感受する感覚細胞が故障すると、そこから過剰な自発放電が持続的に中枢に送られ、高音の耳鳴りとなって自覚されます。低音の場合も同じことです。
耳鳴りには、本人だけが自覚する自覚的耳鳴りと、体の内部に音源があってそれが本人以外にも聞こえる他覚的耳鳴りがあります。
耳鳴りの大部分を占めるのが自覚的耳鳴りです。
耳鳴りの原因は不明な点が多いのですが、一般には内耳障害や聴神経障害の一症状として引き起こされるもので、様々な要因が挙げられています。
外因性のものとしては、頭部外傷や大きな音によって障害が起こる音響外傷、騒音、気圧外傷などで、内因性では化膿性内耳炎やウィルス性(ムンプス、ヘルペス)内耳炎、内耳梅毒、耳垢が詰まる耳垢栓塞、耳の管が狭くなる耳管狭窄症、その他滲出性中耳炎、中耳炎などがあります。
また急性のものには、突然耳が聞こえなくなる突発性難聴やメニエール病が挙がっています。
高血圧症、動脈硬化症、腎不全、糖尿病、自己免疫疾患なども内耳障害を起こす全身疾患と考えられています。
さらに、病気ではなくストレスや睡眠不足、過労、二日酔いでも耳鳴りは起こります。耳鳴りには徐々に発生してくるものと、急激に出現するものがあり、徐々に起こるものには原因不明の感音性難聴に合併するものが多く、急性発症では比較的に原因を特定しやすいといえるでしょう。
耳鳴りの治療
- 薬物療法
ビタミン剤、血管拡張剤、血流改善剤などを使用します。また、肩こりや心身症、抑うつ状態を引き起こしている場合には、それを軽減する薬物を使用します。 - 心理療法
耳鳴りによる不安や意識集中により、苦痛の程度は左右されます。また、ストレスなども誘因の一つとして挙げられます。必要であればカウンセリングなどを受け、自律訓練法などの心理療法を行い、苦痛の軽減に努めます。 - マスカー療法(マスキング療法)
器具を使用して耳鳴りに似た周波数の雑音を聞かせることによって、耳鳴りをコントロールするという方法です。
漢方での診断
快適な睡眠を得るためには、精力が充実している事が必要不可欠です。疲れすぎてしまってはかえって眠れなくなってしまうもの。
不眠傾向がある人は、以下のようなタイプにわかれます。
- 気が不足している
ストレスが溜まり、長期にわたって悩んでいる。精力を使うような仕事をしている。
例えば、外で肉体労働、または頭を使う仕事を長時間に行っていると、元気が不足してきて耳鳴りになるということがあります。 - 胃腸が弱い
胃腸が弱って、食べたものをきちんと吸収できないと、体にとって良い成分が行き渡らないため耳鳴りになったりします。 - 気分によっての耳鳴り
ストレスを和らげる働きをもつ“肝”が弱ったため、耳鳴りになります。顔が赤い、または怒りっぽい人の耳鳴りはこのタイプと言えるでしょう。 - 食べ物の嗜好によって発生する耳鳴り
お酒を沢山飲む方、味の濃いものを好む方。舌を鏡に写してみて、舌苔が沢山生えている人は、このタイプです。 - 風邪による耳鳴り
感冒や発熱などによって発生する耳鳴り。風邪にかかっている最中に耳鳴りがするのは、このタイプです。
耳鳴りの治療
- 元気が無いタイプの耳鳴り
元気を補う漢方+耳の血流を良くする。 - 胃腸が弱いための耳鳴り
胃腸を強くして、耳の血流を良くする。 - 気分によって左右する耳鳴り
ストレスに対応できる体作りと耳の血流を良くする。 - 食べ物の嗜好によっての耳鳴り
食事を改善して、体にこもった熱を冷まし、耳の血流を良くする。 - 風邪のよる耳鳴り
風邪の早期回復を目指して、体力をアップする栄養剤など。