西洋医学での診断
冷たい飲み物を大量に飲んだら、胃がチャプチャプする・・・なんて経験はありませんか?
この症状は水分の摂り過ぎた時や、胃の機能がうまく働かないときに起こります。真夏は暑さと、のどの渇きで冷たいものが欲しくなりますが、摂り過ぎると食欲が低下し、夏バテの原因になるため注意が必要です。
また、日本人はよく冷えたもの(ビールやサワーなど)が大好きで、一年を通して胃腸が弱っている方が多くみられます。一時的に水分を摂り過ぎただけならしばらく控えれば落ち着きますが、これを繰り返していると胃腸の機能が低下して、ほんのちょっとしたこと(ちょっと食べ過ぎる・飲みすぎるなど)で胃がポチャポチャするようになってしまうこともあるため、普段から冷たいものの摂り過ぎには気をつけたいものです。
ただしこの症状は、西洋医学的には消化器の状態を推測する上でのひとつの症状としてはみますが、これだけでは治療の対象にはなりません。
胃内停水(胃がポチャポチャする)の原因
- 水分の摂り過ぎ
- 胃腸を冷やす
- 胃腸病
- 胃アトニー(胃の筋肉の緊張がゆるんで、胃の運動が低下した状態)
- 胃下垂(胃が正常な位置よりも垂れ下がった状態)
- 慢性胃炎 など
胃内停水(胃がポチャポチャする)の予防
- 水分を摂り過ぎない、一度に多くを飲まない
- 胃腸を冷やさない(生もの・生野菜・冷たいジュースやアルコールの摂りすぎに注意!)
- 食べすぎ、飲みすぎで胃腸に負担をかけない
普段から胃がもたれやすい人は、1回の食事の分量を減らし、回数を増やすのも負担を軽減するひとつの方法 - 適度な運動
体力、筋力をつけることで、胃を支え、働かせる力もついくる - 休養
寝不足や疲れは消化機能も低下させる
漢方での診断
動いた時や胃の辺りを叩いた時などに、胃の所でチャプチャプと音がするような状態を、漢方では胃内停水(いないていすい)といい、その音を振水音(しんすいおん)と言います。これは胃に余分な水分が溜まってしまった状態です。西洋医学的には、この状態はあまり重視されませんが、漢方的には身体のバランスの乱れ・改善していくべき状態として捉えています。
では、なぜこのようになるのでしょうか?
それは、何らかの原因で「脾(ひ)」、「肺(はい)」、「腎(じん)」 の機能がスムーズに働かなくなったためと言えます。また、この中でも特に「脾」の機能低下が大きく関わっています。
(漢方では身体を肝(かん)・心(しん)・脾・肺・腎の5つの臓器にわけて診ていく方法があります。ただし、西洋医学でいう脾臓は実際にある臓器を指すのに対して、漢方でいう「脾」は概念的なもので、消化器系全般を指しています。)
胃と脾の関係
「胃」は食べ物や水分を受け入れ、細かくもみ砕いて栄養物質にまで消化する役割があり、「脾」はそれを吸収し、運ぶ働きがあります。またこの働きは、胃と脾が協力し合ってなりたっています。
胃内停水を引き起こす要因
1.脾に負担をかける
- 元々脾が弱い
- 水分の摂り過ぎ
- 生ものや冷たいものの摂り過ぎ
- 胃腸を冷やす
- 食べすぎ など
胃腸が冷やされたり、処理しきれない量の水分が入ってくるなどして脾の働きが低下すると、余分な水分が溜まりやすくなります。また、これが続くと、さらに脾の働きが低下して水が溜まる・・・というように、悪循環になってしまいます。
2.腎の温める力が不足
- 腎の陽気が不足して温める力が弱い
- 虚弱体質
- 過労
- 慢性病
腎には、生命力の根本となるものが蓄えられています。元々身体が弱い、過労、病気がちなどで体力が落ちると、いずれは腎に影響がでてきます。腎の陽気が不足した状態を腎陽虚(じんようきょ)と言います。
腎陽は脾を温める働きもしているため、腎の陽気が足りないと脾がスムーズに働けず、余分な水分が溜まりやすくなってしまいます。この状態を漢方では脾腎陽虚と言います。
3.外から寒湿(かんしつ)の邪(じゃ)の影響を受ける
- 湿度が高く、冷えた場所で生活する
- 雨にぬれてそのままにしている など
これらの要因によって、身体の外を守って温めている陽気が傷つけられると、湿邪が入り込んで、脾胃の働きを邪魔します。すると、水分代謝が低下して、さらに余分な水分が溜まるようになってしまいます。
胃内停水に伴いやすい症状
- 胃のあたりが張る
- 痰やよだれが多い
- お腹や背中が冷える
- お腹や背中を温めると気持ちがよく、冷やすと調子が悪くなる
- 水を飲むと吐く
- 吐き気
- 口が渇くが、水を飲みたくない
- 食欲低下
- 下痢、便がベタッとする、やわらかい
- めまい
- 頭痛
- 動悸
- 息切れ など
胃内停水の予防
- 水分を摂り過ぎない
- 胃腸を冷やさない
- 食べ過ぎない
- アルコールを控える
- 夜遅くに食べない
- 適度な運動で体力
- 筋力をつける
- 身体を冷やさない
- 身体を濡れたままにしない
- 出来るだけ疲れを翌日に持ち越さない
- 睡眠をしっかりとる
- 度の高い季節には特に上記に気をつける など
漢方の処方例
舌に苔がベタッとついている・舌がテカテカと湿って光っているような方は、注意が必要です。
また、普段から疲れやすい・食欲がないといった方は、気(き:元気の源、身体を機能させる力)が足りないため、余分な水分が一度溜まってしまうと、健康な人よりもそれが停滞しやすく、さらに溜めてしまうといった悪循環に陥りやすくなります。普段からの予防を心がけましょう。
【同病異治】といって、同じ病名でも使う漢方や治療法は違いますので胃内停水でお悩みの方は是非当店にご相談ください。【あなたに一番合う】漢方をご案内させて頂きます。
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