西洋医学での診断

おりものとは、子宮や膣など女性性器の粘膜から分泌物やろ出液が膣外に流れ出したもので、閉経前の女性であれば誰にでもあります。
常に膣内を適度に潤しているおりものには、免疫抗体が含まれていて、外部から侵入してくる病原菌から女性性器を守っています。また、精子の子宮内への進入を助ける働きもあります。
正常では無色透明でにおいがなく少量です。多少の粘り気はあってもべたつきはありません。また正常な状態でも、排卵期、月経前、妊娠中は量が増えます。
しかし、上記のような状況ではないのにおりものの量の増加、色や臭いの変化がある場合には、性器の疾患、細菌感染、腫瘍といった疾患が考えられます。
治療が必要なおりものの特徴
■多量の黄緑色、また灰色の分泌物が出て、陰部に激しい痒みがる
大半が性交により感染します。
黄色から黄緑色で悪臭があり、分泌物の量も増え、細かい泡が混じることもあります。陰部に激しい痒みがあり、圧痛や排尿痛がある時はトリコモナスに感染した可能性があります。
■白いカッテージチーズ状、酒粘状の白い濃い分泌物がある
カンジダ膣炎、頚管炎などが疑われます。体の抵抗力が落ちているとき、例えば妊婦や糖尿病患者、経口避妊薬を服用している女性などが感染しやすい傾向があります。陰部や膣に強い痛痒さを感じ、時には排尿痛も起こります。
■泡状で生臭い分泌物があり、陰部が痒い
細菌性膣炎に感染した可能性があり、原因は個人の衛生習慣が悪い、性交により感染、陰部を不適切に洗浄したことにより、細菌の生体が変化した可能性があると考えられます。
■クラミジア感染症
おりものの増加や不正出血、下腹部の痛み、性交時痛などの症状があります。
しかし、女性はほとんどが無症状で、女性の感染者の80%は症状が出ないと言われています。放置すると子宮内膜炎、卵管炎、子宮外妊娠、不妊、早産、流産の原因となることがあります。
■茶褐色で出血が混じる
おりものに血液が混ざったもので、ひどい場合には出血することがあります。
疾患としては子宮癌、老人性膣炎といった疾患が疑われます。
おりものの治療
西洋医学では、細菌などによる感染症は、抗生物質、抗菌薬などを用いて治療します。原因が何らかの疾患の場合には、その原因疾患を治療します。
漢方での診断
- 臭いのない帯下
膣内の分泌の増加であり、主として胃腸が弱り、体が湿気ている状態で、多くは慢性に経過します。
体質的な病変なので、西洋医学的な治療は有効ではありません。- 脾虚(ひきょ)
臭いのない粘稠な白色帯下がつづき、元気がない・疲れやすい・食欲不振・むくみ、泥状便などの症状があります。 - 腎陽虚(じんようきょ)
冷たく水っぽい白いおりものが流れるようにでます。- 顔色がどす黒い
- 元気がない
- 四肢の冷え
- 夜間頻尿
- 腰や膝がだるく無力
- 頭のふらつきなどの症状
- 脾虚(ひきょ)
- 臭いのある帯下
- 湿熱(しつねつ)
なまぐさい乳白色や黄緑色の悪臭のあるおりもの、または粘稠で血性の帯下が多量に発生、外陰部の掻痒・膣内の痛みなどの症状があります。菌が繁殖している状態と考えられ、性病の場合もあります。
子宮のまわりで痛みを伴う場合は、検査をお勧めします。 - 肝鬱湿熱(かんうつしつねつ)
黄色または白く粘稠で悪臭のある帯下に血が混じる、イライラ・怒りっぽい・胸脇部が脹って苦しいなどの症状があります。ストレスが溜まっている状態と考えられます。
- 湿熱(しつねつ)
おりものを正常に保つ心得療
おりものを正常に保つには、女性性器の働きを正常に保つことです。そのためには、体全体の調子を整えることです。規則正しい生活をし、適度な休養をとり、メリハリのある生活を送るように心がけましょう。
また、体を冷やさないように注意することも大切です。薄着や冷たいものの摂り過ぎには気をつけましょう。適度な運動は体を温めて、ストレスの発散に役立ちます。
バランスのよい食事を摂ることも大切です。免疫力を高める亜鉛を多く含むカキ、豚肉を取るようにするとよいでしょう。抗菌作用のあるアリシンを含む長ネギ、たまねぎ、ニンニクをとることもオススメします。