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乳ガンについて

癌・免疫

乳ガンとは

乳房には、「脂肪」と「乳腺」組織があります。乳ガンとは「乳腺」から発生するガンで、脂肪からは発生しません
乳ガンは、他のガン同様に細胞の遺伝子異常の蓄積によって発生することがわかっています。
また、発生・進展ともにホルモンに依存している点が乳ガンの特徴です。

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15~20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管(くだ)でつながっています。
乳ガンの約90%はこの乳管から発生し、乳管ガンと呼ばれます。小葉から発生する乳ガンが約5~10%あり、小葉ガンと呼ばれます。

乳ガンの予防と原因

近年、日本で乳ガンの患者さんが増加しているのは、食生活の変化が大きな原因の一つではないかと考えられています。食生活の欧米化により、肥満の女性も増加傾向にあります。
皮下脂肪はエネルギーだけでなく、エストロゲンなどの女性ホルモンを蓄えています。
乳ガン発生のリスク因子として、過剰な女性ホルモンの存在が指摘されており、脂肪の増加が女性ホルモンの過剰な蓄積を招くためリスク要因となります。
また、女性の社会的進出等により、独身・高齢出産が増加してます。
未婚女性は既婚女性に比べて、乳ガンのリスクが高いことが世界各国の研究で認められており、乳ガンの発症する女性が増加していると考えられます。
乳ガンの発生・増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。
これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲン・レベルに影響を与えるようなものがほとんどです。実際に体内のエストロゲン・レベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳ガンのリスクが高くなるという根拠は、十分とされています。

リスク要因

体格

肥満と乳ガン発症リスクとの関連を、閉経の前後に分けて別々に検討しています。
それによると、閉経後の女性では肥満が乳ガン発症リスクを高めることは確実でした。一方、逆に、閉経前の女性ではリスクが低くなることがほぼ確実です。

生理、生殖

初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。

生活習慣

  • 飲酒
    閉経の前後を問わずアルコール飲料が乳ガン発症リスクを高めるのは確実で、摂取量が増加するほどリスクも高くなるとしています。
  • 大豆イソフラボン
    イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンによく似た構造をしているため、「植物エストロゲン」とも呼ばれます。
    乳ガンはエストロゲンの作用で活発に増殖することがありますから、大豆イソフラボンを多く取ることで、乳ガン発症リスクが高くなるのではないかという心配もよく聞かれます。しかしその一方で、大豆イソフラボンは乳ガンの治療薬であるタモキシフェン(ノルバデックス)と同じような構造をしていることもわかっていて、乳ガンを予防する効果も期待されています。
  • サプリメント
    サプリメントを摂取することが乳ガンの予防につながるかという点については、WCRF/AICR報告書で「ガンの予防目的にサプリメントを摂取することは勧められない」と記載されています。
    乳ガンの発症予防に関しても、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、鉄、カロテン類、イソフラボンなどで有効性が検討されましたが、乳ガン発症リスクが低くなる可能性はないと結論付けられています。つまり、サプリメントや健康食品を摂取することで、乳ガンの発症リスクが低くなることはありません
  • 乳製品
    乳製品の摂取と乳ガン発症との間には明らかな関連性はありませんが、肥満を招かない程度の適量の摂取が望まれます。
    乳製品には、脂肪のように乳ガン発症のリスクを増加させる可能性のある成分と、カルシウムやビタミンDのように乳ガン発症のリスクを減少させる可能性のある成分が両方含まれていて、乳製品の摂取と乳ガン発症との間に一定の関連性を見出すのは、かなり困難です。
  • その他
    一親等の乳ガン家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳ガンの確立したリスク要因とされています。

乳ガンの検診と診断

日本では乳ガンが年々増加し、女性のガンの第1位になっています。現在、毎年約5万人の人が乳ガンにかかっています。
乳ガンになりやすい年齢をみると、30歳代後半から増えてきて、40歳代後半にピークがあり、70歳を過ぎてもそれほど減りません。

自己検診

乳ガンは自分で発見できる数少ないガンの一つであり、自己検診が大切です。月に一度は自己検診を行いましょう。

 

自己検診の方法

  • 鏡に向かい、乳房の変形や左右差がないかをチェックする
  • 渦を書くように手を動かして、指で乳房にしこりがないかをチェックする
    入浴時に、石鹸などを乳房につけると調べやすくなります。

乳ガンの半分近くが、乳首より上の外側にできますので、この部分はより念入りに調べましょう。
仰向けになって外側から内側へ指を滑らせ、しこりの有無をチェックするこのとき、背中にタオルなどを入れて、乳房が平らな状態にして調べると、よりやりやすくなります。

実施時期

閉経前の人は、月経終了後1週間くらいの間に行う(排卵から月経終了までは乳房が張るため)。
閉経後の人は毎月、日にちを決めて行うとよい。

マンモグラフィ検診

マンモグラフィ(乳房X線)は2枚のプラスチック板の間に乳房を挟んで圧迫して、上下左右から撮影する検査方法です。
マンモグラフィでは、透過力の低いX線を使用しますので、圧迫して乳房の厚みを極力薄くしないと、的確な診断が難しいため、このような方法になっています。
現在マンモグラフィ検診の対象は40歳以上で、40歳未満に対する効果に関しては報告がありません。
40歳未満では乳腺が発達しているため、乳腺の異常がわかりにくいということがその理由です。
また、マンモグラフィ検診は「脂肪の多い高齢の女性に対しては病変検出率が高い」という特徴が関係しています。
乳房内の乳腺は年齢とともに脂肪に置き換わっていくため、若い女性と50歳以上の女性では乳房内の状態が異なり、高齢の方ほど脂肪の量が多くなっています。

マンモグラフィで写ってくるものは、乳ガンだけでなく、良性で明らかに治療の対象にならないものや、良性と悪性の区別が難しいものもあります。
マンモグラフィによる検診は確かに有効ですが、閉経前でいわゆる高濃度乳房(乳腺の密度が濃い状態で、マンモグラフィでみると、いわゆる白い部分が多い乳房)の人では、正常な乳腺組織の中にある乳ガンを区別してみつけることが難しい場合があります。その場合、超音波検査が乳ガンの発見に役立つことがあります。
マンモグラフィでは乳腺も乳ガンも白く描出されますので、その区別が難しいのに対して、超音波検査では、乳腺は白く、多くの乳ガンは黒く描出されるため、比較的発見しやすいという利点があります

超音波検査は、被曝もなく、欧米人に比べて乳房の小さい日本人では効率的に乳ガンをみつけることができる可能性があります。
臨床的に疑いが生じると、乳房MRI検査および細胞診や生検が実施され、病理学的診断によりガンであるかどうか判別されます。
胞診は多くの場合、超音波装置の誘導で腫瘍内に細い針を挿入し腫瘍細胞を採します。
生険にはいくつかの種類があるが、超音波ガイド下にやや太目の針を挿入して腫瘍の一部を採取する針生検が最もスタンダードです。

乳ガンと診断されたら

乳ガンの治療は、手術、薬、放射線などを組み合わせて行い、何通りものやり方があります。
どれが患者さんにとって最善かは、ご本人と医師がじっくり話し合って決めなくてはなりません。
患者さんにとって治療は初めての体験で、「それを受けたらどうなるか」を想像することさえ難しいからです。
病院や治療法を決めるときは、あせらず時間をかけて、納得のいくまで検討してください。
乳ガンを経験した方の話を聞くのも参考になります。

  1. 気持ちを落ち着かせる
    気持ちがあせっていたり、不安に取りつかれたりしていると、じっくり考えることが難しいので、まずは大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせましょう。
    乳ガンは治療できる病気であり、急いで何かをする必要もないのでじっくり考えましょう
    不安や気がかりな事は人に聞いてもらうことで軽くなることがあるので、医療者や家族、経験者などに話をしてみてください。
  2. 乳腺の専門医をみつける
    まずは信頼できる専門の医師をみつけてください。
    病院の案内に「乳腺科」が標榜されていなくても、中規模以上の病院の多くは、外科の中に専門医がいるので、尋ねてみてください。患者団体や近くの医師から紹介してもらうのもよいでしょう。
  3. 情報を集める
    病気と闘うには、自分自身の病気のことや治療法のことを知らないと始まりません。
    中国の兵法の専門家である孫子も「相手を知り、自分を知れば、百戦しても敗れることはない」といっていますので、必要な情報を集めましょう。
    不安の中には、「抗ガン剤の副作用は強いのかな」「この先、どうなるんだろう」という「わからない」ところからきているものもあるので、治療の内容を知ったり、見通しが立ったりすることで、安心できることも多いと思います。

(参考:日本乳ガン学会HP)

東洋医学での診断

多くの中医は、乳ガン肝経痰凝瘀血が原因と考えます。
わかりやすく説明すると、ストレスや継続的な緊張などが続くことで血の流れが悪くなり、その結果何らかのしこりができるのです。
漢方の治療は、祛瘀化痰、軟堅散結を原則とします。これは、血の流れをよくしてしこりができないようにし、もししこりがある場合でも血の流れを良くすることで、そのしこりを柔らかくして無くしていくようすることです。

東洋医学では気・血・水(きけつすい)といって、気力パワー、血液の循環、水やリンパ液の流れで健康が決まるといわれています。乳がんの場合は特に血液の循環、水やリンパ液の流れがポイントになります。

肝うつ、気(ストレス)の流れが悪いタイプ

乳房に硬いしこりがあって、精神的不安定、イライラが強くストレスの高い人です。
胸が苦しい、脇が張る、 生理前に胸が張るといった張る症状が目立ちます。
舌…暗い、舌苔が黄色い
治療法は気の巡りを良くしてストレスを減らし、血の流れを良くするような漢方薬です。

胃腸の働きが弱く、水分が滞って、体内の水の流れが悪いタイプ

乳房や脇の下にしこりがある、食欲がなく、やつれて顔色が悪い、精神的に疲れているなど疲れが目立ちます。
このタイプの便は 軟便で、水洗で流しても便器に便がへばりつく事が良くあります。
舌は薄くて歯の跡があり、舌の苔が白く粘ります。
治療法は、胃腸の働きを良くさせ、しこりの原因となる痰湿を取り除くことです。

血液がきれいでなく、血の流れが悪いタイプ

乳房に硬いしこりがある、焼けるような痛みが強い、皮膚の色が暗紫、腫瘍の境界があいまいで、押しても動かない。放っておくと、しこりが破れ汁や出血することがあり、その液は悪臭があり痛みが強い、精神的に不安定でイライラが強く、怒りっぽい、熱がこもり喉が渇く、便が硬く便秘気味である、尿が黄色い。
治療法は、血の流れを良くし、炎症を抑え排毒を促すことです。

人間の健康を支える3つの柱「気(ストレス)・血液・水分」が弱って、総合的に体力が弱っているタイプ

乳房にしこりがある、しこりがゴツゴツしている、悪臭のある汁や出血がある、顔色が黄白くて悪く、立ちくらみを起こす事がある、動悸や息切れ、汗がダラダラと漏れ出る、眠りが浅く良く夢を見る、軟便や下痢、舌の色が薄く血の気がない、舌苔が白い
治療法は栄養を補い血や気を充実させることです。

東洋医学では「薬草の働き」を上手に利用

体質に関係なく使う薬草、ガンによく使われる生薬

  • 白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)
  • 半枝蓮(はんしれん)
  • 冬虫夏草
  • 霊芝
  • 田七人参 など

気力パワーをつける薬草、ストレスに作用する薬草

  • 朝鮮人参
  • 黄耆(おうぎ)
  • 白朮(びゃくじゅつ)
  • 山薬(さんやく=山芋のほしたやつです)
  • 甘草(甘い味の薬草 肝臓とは関係ありません)
  • 大棗(たいそう 大型のプルーン ナツメとも呼ばれます)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 陳皮
  • 青皮
  • 枳実
  • 枳穀
  • 香附子
  • 木香
  • 烏薬 など

体をあたためて、体の成分の新旧入れ替え(新陳代謝)を良くする

  • 附子(ぶし、トリカブトの根。少量ではとても良い薬です)
  • 桂皮(けいひ、シナモン、ニッケのことです)
  • 乾姜(かんきょう、しょうがを蒸して干したもの)
  • 杜仲(とちゅう)
  • 枸杞子(くこし。赤いクコの実のこと)
  • 骨砕補(こつさいほ)
  • 冬虫夏草(とうちゅうかそう)

血液をきれいにし、流れを良くしてくれる

  • 田七人参(でんしちにんじん)
  • 艾葉(がいよう)
  • 当帰(とうき)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 熟地黄(じゅくじおう)
  • 何首烏(かしゅう)
  • 竜眼肉(りゅうがんにく。中華料理で出てくるデザート、ローガンの干したもの)
  • 川弓(せんきゅう)
  • 延胡索(えんごさく)
  • 欝金(おうごん)
  • 莪朮(がじゅつ)
  • 益母草(やくもそう)
  • 紅花(べにばな)
  • 牛膝(ごしつ)
  • 桃仁(とうにん)
  • 牡丹皮(ぼたんぴ)
  • 三稜(さんりょう)
  • 丹参(たんじん)
  • 地黄(じおう)

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