西洋医学での診断
「足がつる」いわゆる『こむら返り』 は、筋肉が急に収縮して痙攣を起こした状態です。足だけでなく、どの筋肉にも起こり得るものですが、頻度としてはふくらはぎが多いようです。
足がつる原因ははっきりわかりませんが、筋肉中の血液の流れが悪くなったり、体内の電解質バランスが崩れて起こると考えられています。
足がつる原因
- 筋肉の疲労 (激しい運動後など)
- 十分に準備運動をしていない
- 普段使っていない筋肉に急に力を入れる
- 運動不足
- 水分不足
- 水泳などで冷たい水に長く浸かる
- カルシウム、マグネシウム、ビタミンの不足
- アルコールの飲みすぎ
- 嘔吐・下痢・過度な発汗などによる脱水
- 妊娠 など
頻繁に足がつるような場合は、内科的な病気や、薬の副作用が原因となっている場合もあります。
- 甲状腺機能低下症
- 肝硬変
- 副甲状腺機能亢進症
- 低ナトリウム血症
- 尿毒症
- 骨粗しょう症
- 糖尿病
- 動脈硬化症
- 静脈瘤
- 神経系の病気
- 薬の副作用
足がつる場合の治療
上記の内の何らかの病気が原因であれば、まずはその治療をします。
原因となる疾患がなければ、運動前にはきちんと準備運動をしたり、普段から適度な運動をしたり、運動をするときには、水分・塩分補給をきちんと行うなどで予防することが大切です。それでも足がつってしまった時は、ゆっくりと筋肉を伸ばして、その後温めたりマッサージをしてほぐします。
薬を使用する場合は、下記のものが挙げられます。
- 漢方の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 消炎・鎮痛薬(痛み止め)
- 筋弛緩薬、抗けいれん薬(けいれんを抑える薬)
- 精神安定剤 など
漢方での診断
漢方では、こむら返り(足がつる)は、筋(すじ、腱)や脈(血管、リンパ管)に栄養や潤いが行き渡らなくなることによって起こると考えます。
貧血、出血、過剰な発汗、下痢、発熱、老化、偏食、寝不足、疲れ、冷え、寒さや湿気の影響を受けるなど、これらを漢方的に分類すると、次のようなものがあります。
- 血(けつ)が足りない
手足のしびれ、筋肉がピクピクする、めまい、唇や爪の色がうすい、爪が割れる、動悸、不眠、集中力の低下、頭痛、生理不順、目がしょぼしょぼする、視力の低下など。 - 陰(いん)が足りない
血の不足の症状に加えて、のぼせ、ほてり、寝汗、口が渇く、イライラ、微熱、ドライアイ、体がやせる、尿が濃い、など。
血や陰の不足は、長い間の気血陰陽のバランスの乱れ(慢性病、疲労の蓄積)や発熱などが原因となります。
また漢方では、筋(すじ)は肝(かん)と繋がりがあり、肝は血を蓄えておく所でもあります。したがって、足がつるなどの筋肉の痙攣は、肝血(かんけつ)の不足と大きな関わりがあるのです。パソコンや細かな字を見るなど、よく目を使う、頭を使う仕事をしている、普段からイライラすることが多い、夜眠れていない、食事をきちんと摂っていないなど、思い当たる場合は要注意です。養生を心がけましょう。
漢方薬としては、血や陰を補うもの、熱を冷ますものなどを状態に合わせて使っていきます。 - 邪(じゃ)が気血の流れを邪魔している
重だるい、頭痛、発熱悪寒、身体が痛む、など。漢方薬としては、くっついている邪を取るものを使います。