西洋医学での診断
人間の平均睡眠時間は、約8時間と言われています。しかし、人によっては睡眠時間は様々で、5時間の人もいれば9時間の人もいます。
不眠とは、睡眠時間の長さによって判断されるものではなく、その人が朝起床した際にだるさや眠気といった不快感を持ち、一日の日常生活を行う上で支障をきたす程度によって判断されます。不眠を起こす原因には、様々なものが挙げられます。
不眠の原因
- 何らかの疾患によるもの(リウマチにより痛みが強く眠れない、うつ病、精神分裂病など)
- 薬物によるもの
- 環境の変化によるもの(海外との時差、眠る場所の変化など)
- 何らかのストレスによるもの
不眠の症状
- 入眠障害
寝つきが悪く、なかなか眠ることができないが、いったん眠ってしまうと朝までぐっすりと眠れること。 - 浅眠、熟眠障害
眠りが浅いこと。老人や神経質な人に多く見られる。 - 途中覚醒
夜中に何度も目が覚めること。 - 早朝覚醒
朝早く目覚め、そのまま眠れない状態のこと。躁鬱病、老人の人に多く見られる。
不眠で悩んでいる人の多くは心理的なもので、症状は入眠障害がほとんどです。そして睡眠不足の場合が多く、眠気やだるさといった症状が残ります。「夜になるとまた眠れないのではないか」と不安で寝つけず、入眠障害を起こすという悪循環を招きます。
不眠の治療
- 何らかの疾患によるものの場合には、まずその原因疾患の治療を行う
- 支持療法
- 精神療法(森田療法)
- 薬物療法(抗不安剤、睡眠薬の投与など)
- その他
眠りやすい環境を作る、寝る前にコーヒーやお茶といったカフェインの含まれているものは避ける
漢方での診断
快適な睡眠を得るためには、精力が充実している事が必要不可欠です。疲れすぎてしまっては、かえって眠れなくなってしまうもの。不眠傾向にある人は、以下のようなタイプにわかれます。
- 興奮しているための不眠
食欲はなく、口が渇く、目が赤くなり、口が苦い、便秘などの特徴があります。
原因は怒ってばっかりいるということ。ストレスのクッション肝がダメージを受け、熱が生じてしまい、不眠となってしまいます。怒ってばかりいるため、胃に負担がかかり、食欲が無くなってしまうという特徴があります。 - 体に余計なものが溜まっているための不眠
食べ過ぎ、飲みすぎによっての不眠になったタイプ。体が重だるくなる症状が特徴です。
“痰(体に悪影響を及ぼす液体や塊)”という余計なものが溜まっているとみて、頭が重だるく、胸が悶々とする、食べるとムカムカする、心臓がソワソワして口が苦く、眩暈がする、体に溜まってしまった余分な水分を出す漢方と、油物・お酒などを控えてもらい、暴飲暴食は慎みましょう。 - 精力不足による不眠
加齢によって眠りが浅くなる、寝つきが悪くなるタイプが多く、現在は若い世代でも、多くみられます。
遅くまで仕事をして疲れている、夜遅くまで寝ないといった若者が増えているからです。
体の潤いの成分が不足していることによる不眠、心臓がソワソワする、動悸・不安感がある、頭がクラクラする、耳鳴り、忘れっぽい、足腰がだるい・手足が火照る、口が渇くが水は欲しくないなどの症状が思い当たれば、精力が不足しているための不眠と言えるでしょう。
潤いのもとを補う漢方や、精力を補う漢方などがオススメです。 - 気力・血液・不足による不眠
夢が多く、目が覚めやすい、動悸がしたり、物忘れが多いのが特徴。
眩暈、頭がクラクラする、足がだるく精神疲労がある、あまり食事がおいしくない、顔色は白い、このタイプは、元気の気と血液が不足した不眠です。眠れない・寝つきが悪いと思っていたら、ドンドン症状が悪化し、眠れないから疲れる、だから更に眠れないという悪循環に陥った方々が相談にみえます。
クヨクヨ悩みやすい人に多い不眠です。
不眠というのは、主に、多くの感情の不安定さによって起こりやすく、また働きすぎたり、動きすぎる事で体力が低下したり、食べ物や飲み物の不養生からなる場合もあります。
最初は寝つきが悪いから始まり、症状が進めば全然眠れなくなるようです。
西洋の睡眠薬を常用するのは、長期的に考えて問題があると思います。まずは体調を整えたり、作用の穏やかな漢方薬で体調を整えて、眠れる体作りをするのがオススメです。
漢方の睡眠薬といわれているものは、「飲んだらすぐ眠くなる」という、神経を抑えて作用させるものはありません。朝・夜など定期的に飲んで、体が眠らなくちゃいけないと思う時間になると、自然と眠くなるという便利なものなのです。